2018年05月23日

世界遺産 平泉に行ってきました 〜中尊寺

奥州藤原氏ゆかりの世界遺産 平泉(岩手県平泉町)に行ってきました! 写真はその代表的存在である
中尊寺です。

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平泉一帯は9世紀頃から大和政権の支配下に入り、莫大な金が産出したことで重要性が急速に高まります
平安時代後期になると、藤原清衡(きよひら)、基衡(もとひら)、秀衡(ひでひら)、泰衡(やすひら)の4代にわたり奥州藤原氏の本拠地として発展。同時期の鎌倉が人口10万人だったところ、平泉は5万人、最盛期は10万から15万人もいたと推計されているほど、その繁栄は驚異的なものでした。
 ・奥州藤原氏を描いた大河ドラマ『炎立つ』


しかし、最盛期を築いた秀衡が1187年に死去。泰衡が当主になりますが、1189年源義経を匿ったことから源頼朝の追討を受け、奥州藤原氏は滅亡してしまいます。下の写真は中尊寺にある弁慶堂。源義経に最期まで従った弁慶を偲び、江戸時代に再建されたお堂です。

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その後の平泉は急速にさびれ、時は流れて江戸時代前期の元禄2(1689)年5月13日、かの俳人 松尾芭蕉が平泉を訪れます。奥州藤原氏が栄華を極めたはずの場所が田野となっている有様を見て、詠んだのが以下。
夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡
The summer grass- It is all that's left of ancient warriors dreams
夏日的草地 - 一切都是古代武士们梦想的痕迹


また朽ちかけていたものの、かろうじて光を残す中尊寺金色堂に対しても、以下を読み上げました。
五月雨の 降残してや 光堂
So the rains of spring fall and fall, yet leave untouched this bright Hall of God
春天的大雨破坏无遗,却没有触动这个明亮的金色堂


中尊寺の境内は広大で坂や階段を上った先に金色堂があります。教科書に載っているあの黄金の金色堂は撮影禁止なので、それを収納している覆堂を撮影しました。実物はぜひ現地で見て、芭蕉とともに奥州藤原氏の栄華に思いを馳せてください。

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2018年01月02日

『風雲児たち〜蘭学革命篇〜 』、先人たちの情熱と使命感に心震えた

昨日、NHKで正月時代劇『風雲児たち〜蘭学革命篇〜 』(脚本:三谷幸喜)が放映されました。いや〜本当に見ごたえがありました。
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これは前野良沢(演:片岡愛之助)、杉田玄白(演:新納慎也)、中川淳庵(演:村上新悟)といった医学者たちが、オランダ語で書かれた医学書『ターヘル・アナトミア』を苦心惨憺の末に翻訳し、『解体新書』として出版を実現するまでの物語。

オランダ語の辞書が存在しないため、暗号解読のような手法で一語一語、翻訳していく杉田玄白たち。それは気の遠くなるような作業。今の時代の私たちでさえ、辞書があったって外国語長文の翻訳は大変なのに……。

その苦労について杉田玄白は回顧録『蘭学事始』で、「櫂や舵の無い船で大海に乗り出したよう」「1年経ってもほとんど翻訳が進まず」と語っています

しかし、何度挫折しそうになっても翻訳作業を続けたのは、これが実現したら先進の西洋医学を導入できる、新たに助かる命があるという情熱と使命感からでした。そしてついに、1774(安永3)年、『解体新書』の出版を実現させます。先人たちの奮闘ぶりに心が震えました。


●外国語教育の「読み」「書き」中心主義の走り
見事に『解体新書』を出版させた杉田玄白たち。これにより日本の医術は飛躍的に向上することになりました。加えて、西洋の先進的な技術や学問に注目が集まり、人々は鎖国の眠りから覚め始めます。こうして討幕、近代化への流れが加速していくことになるのです。

さて、こうした成功例は日本の近代化を推し進めた一方で、現代にまで続く「負の遺産」も生み出したように感じます。それが外国語教育の「読み」「書き」中心主義です

日本人は英会話スキルがかなり低いことで有名ですが、それもそのはず。学校の外国語教育では「読み」「書き」が中心で、「会話」や「ヒアリング」が軽視されているのですから。

これはやはり、幕末、明治維新にかけて、西洋諸国の先進的な文献を翻訳し、富国強兵を実現させた成功体験があるからだと思います。それはとても素晴らしいことですが、それ以外が軽視されてきたことは残念なことです。さすがにそろそろ次の段階に移行してもいいのではと感じています。


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2017年08月24日

北綾瀬駅、千代田線の本線に直結予定

「大手町方面への直通運転開始か・・・
2018年度末から直通化を予定しているという、あの噂が本当だったとは・・・・・・・・・・・・!!」

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「知っているのか、雷電……!?」

(^▽^) 雷電先輩に知らないことなんて、ないんやで!! 

おっしゃる通り、北綾瀬駅は2018年度末から千代田線の本線に直結予定(現在は綾瀬―北綾瀬間のみ運行)。



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2017年04月18日

『江戸と北京』、中世アジア二大都市の比較にワクワクした!

2月18日から4月9日まで江戸東京博物館で開催していた『江戸と北京−18世紀の都市と暮らし−』。私も行ってきたので、そのレポートです。

北京は、現在の中国の首都ですが、遡れば元代(13世紀末)から中華世界の首都として機能してきました。人口規模は18世紀で100万人以上。影響力も含めて、中世アジアはおろか世界最大の都市でした。

一方の日本。鎖国して小さくまとまっていた感じがありますが、意外にそうでもない側面もあります。
とくに江戸
徳川家康が江戸幕府を開始した1603年当時、江戸の人口は10万人ぐらいと思われます。ところが、18世紀には100万人を突破。人口規模では、北京と同等だという……。日本と中国じゃ、国の大きさが全然違うんだよ。ちょっと、あり得なくね……

江戸と清朝の北京、そんな二つの都市を比較して、共通点や異なる点を発見していきましょうという趣旨が、この展覧会。実際、面白かったです。


●江戸時代と清朝、共通点が結構ある
江戸時代の開始は1603年。満州族の愛新覚羅氏が、北京に入城して中国支配を開始したのが1644年(清朝そのものは、1616年に建国)。つまり、始まりの時期が近いのです

江戸幕府は3代将軍・徳川家光の頃から鎖国を開始しますが、例外的に清朝とは長崎を窓口として交易を行っていました。二つの都市に共通の文化が育まれるのも当然といえましょう。

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「熈代勝覧」 江戸時代・1805年(文化2)頃 ドイツ・ベルリン国立アジア美術館蔵



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「乾隆八旬万寿慶典図巻」 清時代・1797年(嘉慶2) 中国・故宮博物院蔵【日本初公開】



往来する人々で賑わう江戸と北京の街並み。絵の構図も似ています。二つの街を比較するだけで、とてもワクワクしますね〜。

場内には江戸時代と清朝の対比年表もあって、わかりやすかったです。
江戸幕府が参勤交代などを行い、諸藩の力を抑制することで支配を確立したのと同様、
清朝も康熙帝、乾隆帝の治世で支配体制を盤石なものにしました。そして両朝は、長い太平の世を築くのでした。

絵画の他にも、陶磁器、衣服、書画、書物などを展示。共通点や異なる点を比較すると、楽しみも倍になります。

こうした海外の都市との比較をテーマにした展覧会は、実はあまり前例がありません。それだけに、とても新鮮でした。今後も、『江戸とロンドン』、『江戸とイスタンブール』といった展覧会が開催されることに期待したいですね


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2016年05月19日

「つくば科学万博」に降り立ったゴルゴ13

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2020年東京オリンピック、何から何までバタバタしていますね。一連の現象は、やはりネットの普及によって、さまざまな情報が世間にも開示されるようになったから起こっているのだと思います

おそらく、「とある筋」にウン億円の口利き料を支払うのは、どこの国も、いつの時代もやっていたことだと思います。しかし、かつては一般の人々がその詳細を知る手段などはありませんでした。それが最近は、裏で隠れてやっていることですら漏れて聞こえてきてしまう時代なのです。

真偽のほどはわかりませんが、現在「電通」という広告代理店の名前が上がっています。ネット上では、すっかり「悪の黒幕」というイメージが定着しちゃっている電通ですが、はるか前からオリンピックや万博の案件を担当してきました(「独占」とか「牛耳る」とか書くとさらに黒幕度が上がってしまうので、ここでは「担当」にしておく)。


●つくば科学万博を巡るエピソード
『ゴルゴ13 第66巻 シーザーの眼』にも、広告代理店と万博を巡るエピソードが描かれています。時代は1985年。我々世代には光り輝く想い出の「つくば科学万博」が舞台です。

大手広告代理店「博通」(元ネタがわかりやすい (;^ω^))のやり手営業マンである鎌田は、直属上司からの特命を受けて、電気企業「シーザー電子」に出向を命じられます。シーザー電子も、つくば科学万博に出展する企業のひとつ。

しかし、彼の周りにはKGB(ソ連のスパイ組織)や警視庁外事一課(要するに公安)、そしてゴルゴ13という物騒な人たちの影が・・・。

これを読むと、広告代理店の仕事というのは、外部に情報が漏れないように超秘密主義であることがわかります。鎌田も同じ会社の同僚にさえ情報を漏らさないよう、万博会場に引きこもって広告宣伝に関する仕事をしていました。こうした秘密主義が、悪くすると「暗躍」、「利益誘導」にとらえられてしまうんですね

いずれにしてもKGB、公安、ゴルゴ13に絡むような仕事は、絶対にしたくないものです。


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2016年04月12日

『写楽 閉じた国の幻』(島田荘司)

syaraku.jpg活動期間たったの10ヶ月(1794年5月〜1795年3月)。鮮烈な作品を残しながら、あとは何の痕跡も残していない謎だらけの浮世絵師・
東洲斎写楽

その正体を巡って、さまざまな議論がされてきたわけですが、ミステリー小説の巨人・島田荘司は、とんでもない仮説を立てて
『写楽 閉じた国の幻』(2010年)を書きました。

むろん、こんな荒唐無稽な話あるわけがない。でも、もしかしたら、あり得るかもしれない。仮にあったとしたら、とてもロマン溢れる話です


(以下は、ちょっとネタバレになっちゃいますが・・・)
当時の江戸幕府の記録と、オランダ商館の記録を照合させるという史料研究が、今なおほとんどなされていないのは本書に書かれてある通りのようです。う〜ん、照合することで、新しい発見がたくさんあるはずなんですけどね。21世紀なのに・・・。コンピューターがこれだけ発展しているのに・・・。ぜひ、やってほしい!!

ただ、「学問」というのは、前例の学説を元に発展させたり軌道修正させていくから、あまり突飛なことをやると「学会」という居場所にいられなくなっちゃうんでしょうね。

でも、そのうちGoogleやAmazonなどが、この分野にも乗り込んでくるような気がします。前例などまったく知ったこっちゃなく前進してきた彼らのことですから。それはそれで楽しみですけどね。


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