2013年07月18日

罪作りな奴だぜ、民明書房

前回の記事で、サッカーの語源について以下のように述べました。
「手を使うことを禁止する」ルールを主張していたイングランドのパブリックスクールによって、フットボール・アソシエーション(Football Association)が設立され、こうしたフットボールを「協会式フットボール」(Association Football)と呼ぶようになった。その省略形soc に「人」を意味する -er をつけたものが soccer の語源であり、1880年代頃から使われているといわれている。(wikipediaより)

raiden.jpgしかし、これは間違いでした。
正しくは、雷電先生がご存じです。











minmei.jpg古代中国、春秋戦国時代。趙の国は、北方の異民族の侵攻に脅かされていた。大軍で向かっても馬を自在に操る異民族に、蹴散らされる有様だった。

そこで趙の将軍・飛桂は、刃を仕込んだ球体を開発し、これを馬上の敵兵に目がけて蹴る戦法を考案。この戦法は見事に的中し、異民族の侵攻を食い止めたという。

後に、この戦法は暗殺拳・殺苛阿(さっかあ)として発展を遂げることになる。

なお、これまでサッカーの起源は19世紀のイギリスで発祥したと考えられてきたが、
最近では殺苛阿(さっかあ)の名前でもわかるとおり、古代中国が起源であるという説が有力である

民明書房刊『スポーツ起源異聞』より

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ラベル:スポーツ
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2013年05月14日

オタク文学部生が憧れそうな職業・キャラクター


私、大学は文学部史学科を卒業しました。
ここは就職のことなどほとんど考えずに、ただ「歴史が好き」というだけで入学する人が多い、
非常にオタク純度が高い学科
です。

中には、イケメン・美人もいたんでしょうが、私の周りにいたのは、
生まれて一度も化粧をしたことがなさそうな女子
生まれたときからメガネをかけていそうな男子が多かったです。
そして、私もその一人でした。えぇ、申し訳ございません。

オタク文学部生というのは、実体験が乏しい割に、書物で得た知識が超豊富なことにより、
かなり偏った仕事のイメージを持っています
ここで、オタク文学部生が憧れそうな職業・キャラクターを見ていきましょう。

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2013年04月16日

上遠野 浩平 『恥知らずのパープルヘイズ』

perple2.jpg『恥知らずのパープルヘイズ』(上遠野 浩平)は、『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』
(荒木飛呂彦、1995年〜1999年)の後日談を描いた外伝小説です。

ジョジョファン以外が読んでもあまり意味がないのですが、ジョジョ第5部に思い入れがある人にとっては特別な感情が沸き起こってくることでしょう。
私にとってもジョジョ第5部は特別です。これがなかったら今の私は存在しません
嘘でも大袈裟でもなく。
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ナランチャから生きる勇気をもらった ― 『ジョジョの奇妙な冒険』

ジョジョ第5部の舞台はイタリアで、マフィアのボスの座をかけて死闘を繰り広げる話です。
以下は、ざっくりとした登場人物図(青色は最終的に死亡した人物)。

jojo-part5.jpg

・ジョルノ・・・主人公。ギャングスターになるために、マフィア「パッショーネ」に入団し、ボスの座を狙う。
・ブチャラティ、ミスタ、アバッキオ、ナランチャ・・・ジョルノの仲間たち。
フーゴ・・・ジョルノの仲間だったが、ディアボロを恐れて戦線離脱。小説版の主人公。
・ディアボロ・・・「パッショーネ」のボスで最強最大の敵。

ラスボスのディアボロは、無敵に近い強さでした。彼のスタンド「キングクリムゾン」は、
時をふっとばすという訳のわからない能力を持っており、ジョルノの仲間たちは次々に死亡してしまいます。

しかし死闘の末、ジョルノは勝利し、見事にマフィア「パッショーネ」のボスになったのです。
物語はここで終わります。

物語が終わったとき、皆が思ったはずです。「フーゴはどうなったのだろう?」と。

フーゴはディアボロを恐れて戦線離脱しました。物語のキャラクターとしては、マイナスです。
「恥知らず」「弱虫」「チキン野郎」「卑怯者」と思うかもしれません。
しかし、とても現実的な選択です。
実際のところ人間は誰でも、フーゴのように戦いを避けてしまうことが多々あるのではないでしょうか。

それだけに、きっと多くの人が、ジョルノがボスになった後のフーゴの状況をあれこれ考えたと思います。
 ・ジョルノに抹殺されたか?
 ・チャンスを与えられて、復帰したか?
 ・やさぐれて廃人になったか?
 ・新たなマフィアを創設して、ジョルノのライバルとなったか?


そんななか、2011年に小説『恥知らずのパープルヘイズ』が出版されました。
第5部の後日談で、しかもフーゴが主人公とのこと。
気になる。とても気になる。フーゴ、君はどんな心境で今を生きているんだ?

結論から言うと、本作はジョジョファンたちが膨らませていた想像を見事に回収してくれています
そして、これ以上にない素晴らしい形で終わります。

ジョジョファンは作品への思い入れが強くて熱狂的なため、
作者の上遠野 浩平(かどの・こうへい)は、きっと巨大なプレッシャーがあったと想像できます。
しかし、むしろ作者自身が、相当なジョジョファンと思われます。
だって、超マニアックな伏線とか張っているんだもの。
だからこそ、このようなファンが納得する小説を完成させることができたのかもしれません。
ジョジョファン限定ではありますが、オススメの一冊です。


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2013年02月06日

口元だけを出しているキャラの分析

前回の「口元を隠すキャラ」とは逆に、今回は「口元だけを出しているキャラ」の分析をしてみたいと思います。

いろいろ出してみましたが、性格面での共通点はあまりないようです。

ただ、あえて共通点を上げるとすれば、
顔を隠すには何らかの理由があり、過去や素性が謎に包まれているケースが多いということですね。
それだけ、物語の重要な位置を占めるキャラクターがほとんどです。

mask-men.jpg


●ベルク・カッツェ:『科学忍者隊ガッチャマン』(タツノコプロ、1972年〜1974年)
存在感バツグンの悪役。オカマで不利になるとスタコラ逃げる。そのくせIQ280の超天才。しかし、その正体は人工的に作られた雌雄同体のミュータントという哀しい存在でもありました。今夏の実写版では誰がやるんでしょう? この役。


●学帽政(がくぼう・まさ):『私立極道高校』(宮下あきら、1979年)、『激!!極虎一家』(同、1980年〜1982年)
つねに学帽を被っていますが、素顔も二枚目の男のなかの男。一応高校生ですが、ほとんど抗争に明け暮れています。武道館で開催した全国の不良が集まる『全日本突張大会』は爆笑モノです。基本はギャグマンガです。


●シャア・アズナブル:『機動戦士ガンダム』(サンライズ、1979年〜1980年)
「口元だけを出しているキャラ」の代表選手。素顔を隠しているのは、父を暗殺したザビ家に復讐するため。そして、ザビ家が牛耳るジオン軍に入隊し、大佐まで昇り詰めます。ガルマとキシリアを暗殺し、本懐を遂げます。
 関連記事 ・大人の視点で考えるドレンの魅力


●星 紅(ほし・くれない):『吼えろペン』島本和彦、 2000年〜2004年)
こんな恰好をしていますが女性です。しかも、大手出版社のマンガ編集部デスクで、超有能なキャリアウーマン。仕事だけでなく、戦闘力もかなり高く、飛びひざ蹴りの威力は絶大・・・。って何のマンガだ、これ?


●赤影:『仮面の忍者 赤影』(横山光輝、1967年〜1968年)
何度もドラマ・映画・アニメ化した日本を代表する忍者マンガの主人公です。マンガ版は割と正統派ですが、実写版には怪獣やUFOまで登場し、もう何でもありです。


●宮本恒靖(みやもと・つねやす):元サッカー日本代表、1995年〜2011年
2002年日韓ワールドカップのときのツネ様。負傷した鼻をガードするために付けたマスクですが、インパクト絶大でしたね。素がイケメンのため、マスク姿までイケメン。この姿によって、欧州にも女性ファンが増えたというから凄すぎます。
 関連記事 ・2002年日韓ワールドカップの経済効果


●ライダーマン:『仮面ライダーV3』(東映、1973年〜1974年)
秘密結社デストロンの科学者だった結城丈二が改造された姿。他のライダーと異なり、腕の部分だけが改造されています。そのため、ライダーの中では弱い方。怪人相手に苦戦することもありました。


●ブロッケンJr.:『キン肉マン』(ゆでたまご、1979年〜1987年)
ブロッケン一族は生まれたときは人間で、一人前と認められた者がドクロの徽章を付けて超人になります。そのため徽章を外すと人間に戻ってしまいます。以上、これらはゆでたまご先生お得意の「後付け」ってやつです。


●サイクロップス:『X-MEN』(マーベル・コミック、1963年〜)
アメコミのほとんどが「口元だけを出しているキャラ」なんですが、代表してXメンのリーダーに登場願いました。事故の影響で常に眼から光線を出っ放しになったので、サングラスを常時かけています。


●志々雄真実:『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(和月伸宏、1994年〜1999年)
幕末の頃は長州派の志士でしたが、味方から危険視され暗殺されかかります。全身に大火傷を負いながらも生き延び、維新後は明治政府を転覆させるため一大組織を創設しました。凄まじい戦闘力の持ち主です。


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2012年09月08日

マンガ史に残る最終決戦 ― 『うしおととら』

前回触れた『うしおととら』(藤田和日郎、1990年〜1996年)は不朽の名作として名高いですが、アニメ化されたわけではないので、知らない人はまったく知りません。・・・それは、もったいない。

最凶最悪の白面の者との最終決戦は、マンガ史に残る超ハイテンションなバトルなんですよ。
ushio-climax.jpg

白面の者は、九尾の狐をモデルにした妖怪です。古代中国の殷王朝を滅亡させた傾国の美女・妲己は、九尾の狐が変化した姿でした。その他、浄瑠璃や歌舞伎の題材から、現代の『NARUTO』に至るまで、さまざまな伝承や物語に登場しています。

『うしおととら』の白面の者は、天地黎明のときに闇に沈殿していた邪気が実体化した存在です。古代インドで実体化に成功してからは、中国大陸に移動して暴れ放題しました。その後、800年前の日本にもやってきますが、陰陽師と白面の者に敵対する妖怪が手を組んだことで、封印されました。

そして、現代。白面の者は、封印された状態からもさまざまな策謀を張り巡らせ、ついに復活してしまいます。その影響を受けて、しもべの妖怪たちも日本中で暴れまわるという阿鼻叫喚の地獄絵図に。

だが、うしおの仲間たち(人間&妖怪)が各地で応戦し、白面の者の好きにはさせません。
ついに究極の最終決戦の幕開けです。
ushio-climax2.jpg


ushio-climax3.jpg


で、さらには、なんと・・・
ushio-climax4.jpg

自衛隊の戦闘機が参上!!

妖怪 VS 人間のバトルに戦闘機が登場してくる、そんな物語がこれまであったでしょうか?

これこそ、さまざまなギミック(からくり)で
物語を盛り上げる
藤田和日郎の真骨頂
です。



そして、極めつけのセリフが・・・・


ushio-climax5.jpg


いかがですか。『うしおととら』は伏線のすべてがラストに至るまでに回収され、物語の完成度はかなりのものです。
それに加えて、興奮必至のハイパーバトルですよ。未読の方には強くオススメしたいですね。
 ・デジタル版全巻  ・コミックス版全巻


さて、上記の戦闘機のように、藤田和日郎の作品では常人では考え付かないような、ときにはクレイジーなネタが多数登場します。このクレイジーぶりは久米田康治(『かってに改蔵』)、椎名高志(『GS美神 極楽大作戦!!』)、島本和彦といった他のマンガ家たちからも度々ネタにされています。
とくに面白いのは、『吼えろペン』(島本和彦)に登場する富士鷹ジュビロです。
fujitaka-zyubiro.jpg



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2012年09月05日

「果てしなき憎しみ」という哀しさ

『NARUTO』(岸本斉史、1999年〜)で、ついに黒幕のトビの素顔が明かされました。
以前からの伏線の通り、カカシの親友でかつて戦死したはずのうちはオビトでした。
obito.jpg

仮面から出てきたその素顔には、積年の憎しみと悲しみが張り付いていました。

オビトは蘇らせた死者の軍団を率いるほど圧倒的な強者ですが、心には安息など一瞬もなかったでしょう。
それは、生きているだけで拷問、まさに煉獄のような人生だったのではないでしょうか。

物語に登場する黒幕(ラスボス)には、大きく分けて2種類あると思います。
@圧倒的な能力を持ち、人間を虫のように見下すタイプ。
例: DIO様(『ジョジョの奇妙な冒険』)、大魔王バーン様(『ダイの大冒険』)
こちらはわかりやすい悪で、主人公側は完全な正義となります。勧善懲悪モノの典型ですね。

一方で、
A圧倒的な能力を持ちながら、苦しみにとらわれて自由になれないタイプ。
例: 双子座のサガ(『聖闘士星矢』)、ラオウ(『北斗の拳』)、ダース・ベイダー(『スターウォーズ』)
こちらは心に苦しみや哀しみを抱えており、ハッキリ悪とは言いにくい存在です。

オビトはどう考えてもAのタイプです。
この種のタイプのラスボスで印象的なものに、『うしおととら』(藤田和日郎、1990年〜1996年)の
白面の者がいます。白面の者は、圧倒的な能力で何百年と人間を苦しめてきました。
いかにも「絶対的な悪」っぽい存在でしたが、実は・・・
人間を見下していのではなく、つねに下から見上げて、
「まぶしい、羨ましい、憎い」と呪い続けていたのです。


その哀しき本性を最終決戦のときに、とらに見抜かれます。
ushio1.jpg










 なァ、白面、おめえは何で、
 そういつも見上げた目をしてんだ?





 なぜ、見下さねえ。
 王者ってのは、
 下っ端をそう見るもんだ。




 それが、おめえは、ずっと下から
 睨めあげてる。

 こいつの目はな、嫉妬の目だ!
 
 獣の槍を使う
 蒼月潮が
 連れてくる・・・




ushio2.jpg
 すべての陽の存在!
 それがうらやましくて、
 そして何よりも



 恐ろしいんだろォ
 白面!












 ・・・・・・・
 その・・・とおり・・・
 そのとおりだアアア!
 
 我は憎む!
 光あるものを!
 生命を、人間を!!
 人間と和合する妖を!

 何故 我は陰に、
 闇に生まれついた・・・



ushio3.jpg 国々が、まだ形の定まらぬ
 「気」であった時、

 澄んだ清浄な「気」は
 上に昇って人となり・・・

 濁った邪な「気」は
 下にたまって・・・
 
 我になった・・・

 キレイダナア・・・

 ナンデ ワレハ
 アアジャナイ・・・

 ナンデ ワレハ

 ニゴッテイル・・・!?

 

 













心の中をあばかれた白面の者は、うしおととらに討たれてついに最期を迎えます。人間に凄まじい災いをもたらした白面の者でしたが、その本性は「果てしなき憎しみ」にとらわれた哀しい存在でもありました。


最後に、哀しすぎるラスボスとして、『幽☆遊☆白書』(冨樫義博、1990年〜1994年)の仙水 忍も挙げます。
sensui.jpg


私は、この仙水編が本当に好きです。迫力あるバトル描写で単純に面白いのですが、その一方で
人間が持つドス黒さ、哀しさ、そして美しさがすべて表現されていて、
文学作品に匹敵するほどの完成度だと思います。



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posted by すぱあく at 08:01| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする