2017年09月24日

『レオナルド×ミケランジェロ展』に行ってきました!

三菱一号館美術館で開催されている『レオナルド×ミケランジェロ展』に行ってきました!

mitsubishi-museum.jpg展覧会そのものの話題に入る前に、三菱一号館について述べますね。レンガ造りによる美しい外観が特徴ですが、これは2010年に復元されたもの。元々の建物は、1894年にイギリス人建築家ジョサイア・コンドルによって設計されました(1968年、老朽化により解体)。

なおコンドルといえば、御茶ノ水にあるニコライ堂の設計も手掛けています


●同時代に生きていた二人の天才
leo-miche.jpgさて本題に入ります。今回の目玉は、レオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロ・ブオナローティというルネサンス期を代表する、いや人類史を代表する二人の天才を対比させて展示させているところです。

この二人実は同時代に生きており、互いを意識し合っていた記述も残されています。年齢はダ・ヴィンチの方がミケランジェロよりも23歳上。生前から二人とも天才の誉れ高かったので、いろんな感情があったでしょうね。


●天才の「素描」が見れる!
目玉の二つ目は、二人の「素描」(そびょう)を公開していること。素描とは平面に物体の形体、明暗などを描画する美術の制作技法のこと。制作前に書いておくデッサンのことですね。完成品ではわからない、製作段階の試行錯誤が伺える貴重な資料です。

デッサンといえども、流石は天才。それ自体から大きなエネルギーを発しています。後続の芸術家たちも、こうした素描をお手本にして作品作りに励んできたんですね。


●他にも手稿や書簡など、貴重な資料が盛りだくさん
「万能の天才」と呼ばれたダ・ヴィンチは、芸術分野だけでなく科学や医学にも深い造詣がありました。そうした様々な分野の研究成果を記した手稿も展示しています。しかも、彼は膨大な量の手稿を遺しています。どんだけ天才だったんですかね〜(○´∀`)ノ。

また、友人や家族に宛てた二人の手紙なども公開。ルネサンスの魅力が詰まった素晴らしい内容でした。


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2013年03月13日

選挙で注目される「ローマ法王」 それとも「ローマ教皇」?

vachikan.jpg3月12日から、バチカンでローマ法王の選挙がはじまりました。法王選挙のことをラテン語で
「コンクラーベ」と言うそうです。といっても、私たち日本人にとっては「根比べ? 何それ?」ですよね。


●ローマ法王ってどれくらいスゴいの?
間違いなくスゴい人です。なにせ全世界に12億人いるキリスト教・カトリック信者の頂点にいるのですから。さらにスゴいことにバチカン市国の国家元首の地位も兼務しています

バチカン市国というのは、イタリア・ローマの中にある世界最小の独立国家です。国土全域が世界遺産になっており、サン・ピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂などは観光地として超有名です。

つまりローマ法王は、教祖と大統領を兼ねている感じです。そんな人、他にいませんよね。


●ところで「ローマ法王」なの? それとも「ローマ教皇」なの?
今回、選挙があることもあって、日本のメディアでも「ローマ法王」関連のニュースが多くなっています。ただ、「あれっ、世界史の授業では“ローマ教皇”って習ったような気がするんだけど……」と思っている人も多いのではないでしょうか。

実際のところ、「ローマ法王」なのでしょうか? それとも「ローマ教皇」なのでしょうか? この疑問に対しては、日本のカトリック教会の中央団体であるカトリック中央協議会が公式サイトで説明しています。

教会では「ローマ教皇」を使います。

以前はたしかに、日本のカトリック教会の中でも混用されていました。そこで日本の司教団は、1981年2月のヨハネ・パウロ2世の来日を機会に、「ローマ教皇」に統一することにしました。「教える」という字のほうが、教皇の職務をよく表わすからです。

その時以来、たびたびマスコミ各社に「ローマ教皇という名称を使ってください」とお願いしていますが、残念ながら実現していません。

なるほど、正式には「ローマ教皇」なんですね。ただ、日本のメディアは、カトリック教会からお願いされても、「ローマ法王」と使い続けています。なぜなんでしょう?

考えられる理由は2つあると思います。
1 日本政府による公式の呼称が「ローマ法王」だから
2 皇室を考慮して

日本とバチカン市国は、1942年に国交を樹立しました。当時の定訳は「ローマ法王」だったため、その名称で日本政府に申請し、バチカン大使館は「ローマ法王庁大使館」と呼称されることになりました

その後カトリック教会は、「ローマ教皇庁大使館」への名称変更を日本政府に申請しましたが、「政変が起きて国名が変わるなどしない限り、一度登録した名称は変更不能」ということで却下されました。そのため、官報や外務省の文書に至るまで、日本政府による公式の呼称は現在も「ローマ法王」になっています。

加えて、日本では「皇」という字は主に天皇および皇室に使われる字です。日本のメディアは、皇室関連の記事にはかなり神経を使っているため、避けている可能性があります。


●今回の選挙について
そもそも今回の選挙が行われるのは、本来は終身制の教皇位をベネディクト16世が2月末に退位したからです。生前退位はここ700年間、前例がなかったため、バチカンは上へ下への大騒ぎだったといいます。

さて、ベネディクト16世は退位の理由について「もう86歳と高齢だから」と発表していました。ただ、今回の有力候補を見てみますと、スコラ枢機卿(イタリア・ミラノ大司教、71歳)、シェレル枢機卿(ブラジル・サンパウロ大司教、63歳)、ウエレット枢機卿(カナダ法王庁司教省長官、68歳)、タークソン枢機卿(ガーナ法王庁正義と平和評議会議長、64歳)と皆さんかなりの高齢者です。高位の聖職者はどうしても高齢になってしまいますが、これだとまた近いうちに選挙があるのではと思ってしまいますね。(本記事は「ガジェット通信」にも転載


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2011年01月28日

憧れのヴァチカン

行ってみたい国はたくさんありますが、世界最小の国・ヴァチカン市国にいつか行ってみたいですね。
とくにシスティーナ礼拝堂にあるミケランジェロの「最後の審判」(1541年完成)を見てみたいです。

高校生のとき、美術の時間に「最後の審判」の修復作業のドキュメンタリーを見ました。修復士たちは10年かけて、長い時間でひびが入った壁画を修復したり、ほこりやすすをはらって、ミケランジェロが描いた当時の色合いを復元したのです。その結果、まばゆい色彩の「最後の審判」が蘇ったのです。修復士という職業をこのとき初めて知りました。
Michelangelo.jpg


さて、ヴァチカンはキリスト教・カトリックの総本山です。今でこそローマ市内にあるちょこっとした国ですが、かつては「教皇領」として大きな領域を支配していました。しかも、全世界のカトリックににらみが効く権威は未だ衰えていません。

さて、このヴァチカン。マンガや小説の世界では、「カトリックの信仰を守るためなら、どんな暴力行為も辞さない」というマッドな殉教者という役割りが多いです。
たとえば、『HELLSING』(ヘルシング)のマクスウェルとアンデルセン。かなりマッドなキャラクターたちでした。
max.jpg andersen.jpg 本当に聖職者かよ

アンドレアス・エシュバッハ『イエスのビデオ』では、たかが民間人の青年を相手に軍隊を送り込んできたし・・・。

『ゴッドファーザー PartIII』では、ヴァチカンの聖職者がマフィアと癒着する姿が描かれました。これは80年代に実在した事件だそうです。


これらはフィクションではありますが、教皇庁には実際さまざまな秘密文書が保管されています。「秘密文書保管所」という役所があり、そこが保管しているのです。古いものでは1000年前のものまであるそうです。
http://gigazine.net/news/20100104_vatican_secret_archives/
近年は、これらの秘密文書を公開する傾向にあり、今回も図鑑として出版するとのこと。とにかく中身がすごく、まさに歴史そのものです。
・チンギス・カンの孫でモンゴル帝国第3代皇帝グユクが、1246年に使節プラノ・カルピニに渡した教皇インノケンティウス4世宛ての手紙
・サン・ピエトロ大聖堂を設計したミケランジェロが教皇庁に支払いを督促する手紙

また、ヴァチカン教皇庁公式サイト(外部リンク)では秘密文書保管所のバーチャルツアーが楽しめます。


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2008年12月31日

イタリア史 年代別記事一覧

※ヴァチカン(旧教皇領)の歴史も含む


王政ローマ (紀元前753年〜紀元前509年)


共和政ローマ (紀元前509年〜紀元前27年)
・紀元前219年〜紀元前201年 第二次ポエニ戦争 ― 歴史バカが発狂して喜ぶ『ドリフターズ』


ローマ帝国 (前27年〜476年) ※西ローマ帝国


ローマ帝国以後
:東ゴート王国 (497年〜553年)

:ランゴバルド王国 (568年〜774年)

:フランク王国 (481年〜843年)
:中フランク王国 (843年〜855年)
:イタリア王国  (855年〜963年)


中世
:教皇領 (752年〜1870年)
・1054年 東西教会の相互破門 ― 正教会4 東西教会の分裂後に続く苦難の道
・教皇派 VS 皇帝派の闘争開始(11世紀) ― ザルツブルクからHappy New Year !

:ヴェネツィア共和国 (697年〜1797年)

:ミラノ公国 (1395年〜1797年)

:フィレンツェ共和国 (1115年〜1532年) ※メディチ家

:シチリア王国 (1130年〜1816年)

:ナポリ王国 (1282年〜1816年)


ルネサンス (14世紀〜16世紀)
『レオナルド×ミケランジェロ展』に行ってきました!


イタリア戦争 (1494年〜1559年)
・1541年 ミケランジェロの「最後の審判」完成 ― 憧れのヴァチカン
・1549年 ザビエルによってキリスト教が日本に伝来 ― 教派別 ミッション系大学一覧


外国による統治下 (1559年〜1814年)
※主にハプスブルク家(神聖ローマ帝国・スペイン)などによる統治
織田信長に「黒人」の家臣がいた!!


イタリア統一運動 (1815年〜1861年)


イタリア王国 (1861年〜1945年)
さかのぼりスペイン史2 スペイン内戦


イタリア共和国 (1945年〜)
ナランチャから生きる勇気をもらった ― 『ジョジョの奇妙な冒険』
上遠野 浩平 『恥知らずのパープルヘイズ』
選挙で注目される「ローマ法王」 それとも「ローマ教皇」?


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