この小説との出会いは、電車の吊革広告でした。表紙の美しさに心を惹かれて、買ってしまったのです。
つまりジャケ買いです。自分的には、本でこういったことはかなり珍しいです。それほど、このデザインは秀逸でした。
超能力に目覚めた人間が天空に舞い、眼下に広がるはるかな大地を眺める。そんなイメージです。
敬愛する『ジョジョの奇妙な冒険』第38巻を彷彿とさせるものがありました。
さて、肝心の内容についてはいろいろと言いたいことがあります。大まかなストーリーは以下。
人間として生まれながら特殊な超能力に目覚めた異種(アザーズ)たちは、“光の勢力”と“闇の勢力”に分かれ、長い間敵対してきた。しかし1000年前、ようやく休戦協定が結ばれ、以降、“光”と“闇”の勢力はお互いを監視しあうことで均衡を保ってきた。光が闇(ナイト)を監視するのが「ナイト・ウォッチ」(ナイト・パトロール)。一方、闇が光(デイ)を監視するのが「デイ・ウォッチ」(デイ・パトロール)と呼ばれる。
吸血鬼、魔法使い、闇の王などがわんさか出てきます。この単語の羅列を見れば、興奮必至のバトルファンタジーっぽく思えますよね。しかし、がっかりするほど違います。
日本によくある超能力モノは、手や目からビームは出るし、空は飛ぶし、ワープまでしちゃいますよね。もちろん、本作の登場人物たちもそれぐらいできます。できるのですが、休戦協定のときに「能力発動禁止条約」を結んでいるため、
ハデな能力合戦ができなくなっています。
それでいて、“光の勢力”も“闇の勢力”も自分たちの勢力を拡大しようとしているため、裏で陰険なやり方で工作していきます。映画を見た人はわかると思いますが、見ていてとてもワクワクしません。
せっかく超能力持っているのだから、もっとハデにやりましょうよ。といいたくなりますが、事情があってできません。
相手にばれないように工作する様子は、まるで冷戦時代のスパイ合戦のようです。近年でも、ロシア(というよりプーチン大統領)の外交政策は、予想を遥かにしのぐやり方です。こういう小説が大ヒットするというのも、ロシアの国民性を反映しているのでしょうか。
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