それが「共産主義博物館」(公式サイト)です。
(○´∀`)ノ「共産主義だって?誰がそんなマニアックなところに行くんだよ!」と突っ込まれそうですね。たしかにプラハ城やカレル橋、旧市街広場、ストラホフ修道院などなど、百塔の都には見所がいっぱい。何を好き好んで、暗い時代の遺産である「共産主義」を見に行かなくてはならんのだと思うでしょう。
でもね。ぜひ騙されたと思って行ってみてください。私も友人に勧められて行きました。展示手法がとてもポップなので、誰でも楽しめるはず。実際、若い人も結構訪れていました。
●規模は小さいながら、貴重な展示物が豊富
共産主義博物館はプラハの中心街から近く、火薬塔や市民会館などの名所がある共和国広場に面しています。1階にスーバーBILLAがある白い建物で、入口で380コルナ(約2000円)払って2階に上って入場します。うーん入場料、結構高いな ((+_+))。クレジットカードOK、ユーロは不可です。
さて博物館に入ると、いきなり入口からデデーン!!と
ビッグな赤い星とマルクス像が出迎えてくれます!!
運営者は絶対に狙って展示していますよね、コレ。(;^ω^)
この博物館はアメリカ人実業家が私財で開設した経緯があるため、政府系博物館のような堅苦しさがありません。そのため、こういう冗談なのか本気なのかわからない展示がいくつもあって面白いです。
そもそもチェコ人にとって共産(社会)主義時代(1948年〜1989年、当時の国名はチェコスロバキア)は重苦しい思い出しかなく、本来ならば忘却したい時代のはず。しかし、このポップな展示手法によって重苦しさは中和されており、楽しみながら過去の歴史を学ぶことができます。
下は館内の様子。若い人が多く見に来ていることに驚きました。こちらのコーナーでは共産主義時代のレジャーやスポーツについて展示・説明しています。旧ソ連を筆頭に共産主義陣営は、アメリカなどの資本主義陣営に対抗するためスポーツを国威発揚としてよく利用していました。
写真左下は共産主義時代の教室を再現したもの。
写真右下は国境警備の様子。もしも国境を越えて資本主義諸国に行くヤツを見つけたら、
そのときは容赦なく・・・(((( ;゚Д゚)))
●迫真の資料多数、「プラハの春」&「ビロード革命」
写真下は1968年に起こった「プラハの春」を象徴する一枚の写真。ソ連軍の戦車がプラハの街を制圧した一コマです。
1968年4月、共産党第一書記になったドプチェクは「人間の顔をした社会主義」を掲げ、「プラハの春」と呼ばれる改革運動を実施。検閲の廃止などを行いました。この改革に、それまで抑圧されていたチェコスロバキア国民たちが大いに期待したのは、言うまでもありません。
ところが8月、ソ連軍主体のワルシャワ条約機構軍が軍事介入し、チェコスロバキア全土を制圧してしまいます。ソ連の圧力でドプチェクは辞任に追い込まれ、「プラハの春」は崩壊。チェコ国民は、再び絶望的な時代を生きるはめになったのです。
そうした長く暗い時代にも、ついに終止符が打たれるときがやってきます。まず大ボスであるソ連にほころびが出始め、1985年にペレストロイカと呼ばれる政治改革が始まります。そして1989年11月、ベルリンの壁が崩壊。その後は堰を切ったように、目まぐるしく状況が変化。中欧・東欧のほとんどの共産主義陣営が、共産党一党独裁を放棄しました。
チェコスロバキアでも民主化を求めるデモが相次ぎ、ついに12月、共産党政権が打倒されます。この革命は大きな流血に至らずに成し遂げられたため、軽く柔らかなビロード(ベルベット)の生地にたとえて
「ビロード革命」と名付けられました。
写真下は「ビロード革命」の中心人物となったヴァーツラフ・ハヴェル(1936年〜2011年)です。劇作家として大成しましたが、「プラハの春」崩壊後に反体制運動の指導者として活動。何度も当局に逮捕・投獄されながらも「ビロード革命」を成し遂げ、大統領に就任します。
この他、館内には映画室もあり、ビロード革命時のプラハの様子が上映されています。デモ隊を威嚇する警官たち、それに抵抗する民衆たちの姿。当時の息遣いが感じられて鳥肌が立ちます。
またお土産コーナーでは、共産主義を礼賛した当時のプロパガンダ・ポスターなど、ネタ好きにはたまらない逸品が売られています。
そして極めつけはコレ! レーニンとスターリン像。なんとトイレの横に置かれているんです。共産主義なんてもうこりごり、「お前らなんて、便所がお似合いだぜ! (# ゚Д゚)」というメッセージなんでしょうか?
(;^ω^) とっ、とにかく共産主義博物館オススメですよ!
外交官として実際に「プラハの春」に直面した経験に基づいて書かれた小説。宝塚歌劇にもなりました。
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ヴァーツラフ・ハヴェル大統領が書いた世界に向けたメッセージ
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