さて、こうした危険な外来種の国内流入を水際で防ぐ物語があります。それが『炎蛹(ほのお さなぎ)』(大沢在昌、1995年)。新宿鮫シリーズの第5巻に当たります。
新宿鮫シリーズが読者から飽きられずに今なお続いているのは、各巻ごとに戦う相手がバラエティに富んでいるからでしょう。ヤクザ、チャイニーズ・マフィア、北朝鮮スパイ、公安、汚職警察官、政治家……。こいつらと毎回、たった一人で戦う主人公・鮫島は、もはやスーパーマンですが、一応生身の人間。新宿署防犯課の刑事さんです。
ところが今回、鮫島が対峙するのはヤクザではなく、南米原産で稲作を壊滅に追い込む害虫「フラメウス・プーパ(火の蛹)」。
(((( ;゚Д゚))) こいつも南米かよっ!
いくら鮫島がスーパーマンでもこれは相手が悪い。しかし、彼には強い味方がつきます。それが農林水産省植物防疫官の甲屋(かぶとや)。職務に誠実ながら、決して堅物公務員ではない甲屋。彼と鮫島が日本に降りかかる厄災に立ち向かい、他のシリーズ作と同様熱い展開をみせます。
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