2016年01月27日

FinTechで注目されるビットコイン(3) 注目のキッカケ、キプロス金融危機

market_clash.jpgビットコインが注目されるキッカケとなったのは、2013年3月に起こった「キプロス金融危機」でした。東地中海にあるキプロスはギリシャ経済圏にあるため、ギリシャの経済危機の影響をまともに食らいます。とはいっても、キプロスはとても小さな国なので、経済がおかしくなっても本来ならば世界を揺るがすような問題に発展しません。しかし、大騒ぎする理由があったのです。

キプロスは小国であるがゆえに、タックスヘイブン(租税回避地)としての経済政策をとってきました。産業に乏しい海洋諸国はよくこのタックスヘイブンを行っています。こうすると、高い税金を納めるのを嫌うグローバル企業や富裕層を誘致できるのです。キプロスはとくにロシアの富裕層から人気がありました

しかし、そこに起こった金融危機。EUやIMFは救済の条件として、キプロスの預金者にも負担を求めるとして異例の預金課税を提案します。資産が減少することを恐れたロシアの富裕層たちは、まだ新興だったとある金融資産に注目します。それがビットコインでした。日本人庶民の感覚からすると、海の物とも山の物ともわからない物によく手を出せるもんだと思ってしまいますが、それほど切羽詰まっていたのかもしれません。そもそも、あまりクリーンなお金ではなかったのでしょう。

この出来事をキッカケにビットコインの需要は一気に増え、投資マネーが流れ込んで高騰しバブル状態になります。こうして一躍世界の注目を浴びることになったのです。一方で、ビットコインの問題性も明るみになってきました。ビットコインは匿名性が高く、海外送金が簡単というメリットがあることから、薬物などの違法取引やオンライン賭博での利用、さらにはテロ資金のマネーロンダリングにも利用されている恐れも指摘されるようになりました。


●世界最大の取引所が経営破たんしたマウントゴックス事件
最も記憶に新しいビットコインの事件としては、「マウントゴックス事件」があります。マウントゴックスは、元々トレーディングカードを売買するオンライン交換所として開設。2013年4月の時点では、世界のビットコイン取引量の70%を占めるほど世界最大の取引所でした。しかし、その後、サイバー攻撃(ハッキング)を受けて時価470億円を盗まれたとして、2014年2月に経営破たん。ビットコインへの不信感が一気に高まりました。


●課題解決の先に広がるチャンス
こうした事件によって、ほとんどの人はビットコインに対してマイナスイメージを持っているはずです。ですが、一方で金融関係、FinTech関係、危機管理能力が高い人、技術革新に関心のある人たちからは、依然大きな注目を集めています。やはり、そのメリットは見逃せません。

まず一つ目が、国家の管理を受けないこと。これは安定政権が長く続いている日本人には理解しがたいことですが、世界には国家の方がはるかに信用できないという国も多いのです。ビットコインは、国家の干渉が及ばないため、口座凍結や経済危機の影響を受けないと考えられています。事実、ケニアの3人に1人はビットコインを所有しているという話もあります

二つ目は、前述したように、他の決済手段と比べて手数料が安いこと。加えて、海外への送金が安価で手軽にできることです。これは海外送金を一度でもやったことがある人なら、そのメリットが実感できるはず。海外送金というのは、とてつもなく面倒なのです。銀行のカウンターに行って、必要書類に英語で記入していきます。誓約書にチェックしたりして、確実に1時間以上はかかります。受け取る方も同様の書類手続きがあります。グローバルに展開している企業やビジネスマンにとって、ビットコインの手軽さには「未来」を感じていることでしょう。


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posted by すぱあく at 07:00| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする