と、いきなりデカ太字フォントで述べてしまいましたが、本音です!! とはいえ、こんなことを外で言ったことありません。この国で「愛国」と口走ろうものならば、即「あっ、右の方ですね」と思われておしまいです。その後のコミュニケーションも、とても面倒なことになるので、多くの日本人は無意識にこうした話題を避けます。
そしていつしか私たちは、選挙のことも、政治のことも、経済のことも、教育のことも、国防のこともあまり考えない癖がついてしまいました。むしろ、そっちの方が正しいと思ってきたのです。
しかし、こうした考えは、世界の中ではかなり特殊です。海外に出たことがある人、もしくは外国人と交流がある人は、
「なぜ君は、自分の国のことにそこまで無関心でいられるんだ?」とビックリされたことがあるかもしれません。私もそのひとりです。
●選挙権年齢が18歳に下がるんだけど・・・
そんな中、選挙権年齢が満18歳(つまり高校2年生)に引き下げられることになります。このことにより、これまでほとんど何も考えてこなかったお父さん、お母さん、学校の先生にも、容赦なく子供たちから聞かれることになるでしょう。
「選挙って何? 私の一票で何が変わるの?」と。
そのとき、変に頭がいいフリをして、「選挙に行かなきゃダメだぞ! 国民の義務だ! 行かなきゃ何も変わらないぞ!」と言ってしまう大人は要注意だと思います。
それはもちろん大事なんだけど、選挙がないときでも、子供と選挙・政治のことについて考えて会話をすることも大切なんじゃないでしょうか?
日本人の悪い癖でね。選挙の一週間前は過熱報道のせいで盛り上がるんだけど、その後はどうでも良くなっちゃうんですよね。公約が守られているかどうかなんて、誰も気にしないし。政治家さんにとっては、これほどコントロールしやすい国民もいないんじゃないかな。
●頭がいいフリをして、若者の無知をバカにしてはいけない
こうしたタイミングで知人の長嶺超輝(ながみね まさき)さんが、高校生にも選挙・政治がわかるようにと『東京ガールズ選挙(エレクション)』というライトノベル(ラノベ)を出版しました。
「なんだラノベか」と思った大人も、これまた要注意です。これまでほとんど何も考えてこなかった日本人が、いきなり難しい物を読んでわかったフリをすることの方が危険です。
私自身の体験をお話ししましょう。過去、ある年配の人から「きみぃ、政治を知りたければ、マキャベリの『君主論』ぐらい読んでおかないとダメだぞ!」と言われたことがあります。おいおい『君主論』(wiki)って、あんたこそ大丈夫か? その「ドヤッ」って顔がもう嫌。
頭がいいという自覚があるのなら、威張る前にどうやってその知識や経験を次世代につないでいくかを考えることが使命でしょうに。少なくとも長嶺さんは、ラノベという手法を使ってそれをやっているわけです。
●あらすじ
登場人物は主に3人。主人公の磯山いづみは友達がおらず、居場所といえば、高校の校庭のど真ん中にある樹齢300年のイチョウの樹だけ。でも、この樹が邪魔ということで、撤去に動こうとしているのが、生徒会長の日色冴(ひいろ さえ)。冴は校内で絶大な人気を誇り、その存在感はもはやアイドル。
ある時、16歳で暗殺された徳川家基(とくがわ いえもと、wiki)の亡霊が現れ、「ワシが選挙コンサルタントになってやるから、生徒会長選挙に勝って、イチョウの樹を守ってみせろ!」と言う。「選挙って何?」、「そもそも勝てるの?」、「政治って身近に感じないんだけど・・・」。本書は、女高校生・磯山いづみの目線で選挙・政治、民主主義を考えていけるライトノベル。そして、いづみとイチョウの樹の運命は?
「政治家の悪口でストレス解消だけではダメだと言うておるのじゃ。われわれは結局、自分たちと同じ程度(レベル)のリーダーしか獲得できん。政治に関心のない国民から出てくる政治家は、はたして、どれほど国民に関心を持っておるじゃろうか」
という徳川家基の言葉には、グヌヌ・・・と言うしかありません。
あと、徳川家基の「選挙コンサルタント」という設定もいいですね。日本ではこの選挙コンサルタントの数も質もまだまだなような気がします。これのレベルが向上すれば、日本の民主主義も次の段階に行けるのではないでしょうか。
大人も変にカッコつけず、「ごめん。パパも実は選挙・政治のことよくわからないんだ。いっしょにこのラノベでも読んで、勉強していこうか」と言った方が、「真摯な紳士」だと思いますよ!(「露骨な肋骨」みたいだ、テヘッ!)
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