2010年08月28日

U2で考える北アイルランド紛争

U2初期の代表曲「ブラディ・サンデー」
1972年に北アイルランドのデリー起こった「血の日曜日事件」を題材にしています。
これは公民権運動デモ行進中の市民27名が、イギリス陸軍パラシュート連隊に銃撃された事件。
14名死亡、13名負傷。驚くべきことに非武装の市民に発砲して射殺しました



Sunday Bloody Sunday

Yes...

I can't believe the news today    今日のニュース、信じられなかったよ。
Oh, I can't close my eyes    目を閉じて
And make it go away    そんなニュース消してしまうこともできない。


How long...    あとどれぐらいかかるのだろう、
How long must we sing this song    この歌を歌わなければいけないのは。
How long, how long...    あとどれぐらい、どれぐらい・・・
'cause tonight... We can be as one    とういうのも、僕たちは一つになれるんだから。
Tonight...    そう今夜・・・

Broken bottles under children's feet    子どもたちの足下に割れたビンが散乱し、
Bodies strewn across the dead end street    行き止まりの道に放り出された死体の山。
But I won't heed the battle call    でも僕は戦闘の呼び声を静かに聞くつもりは無いよ。
It puts my back up    僕は怒りに満ちているんだ、
Puts my back up against the wall    壁に追いつめられながら。

Sunday, Bloody Sunday    血の日曜日、
Sunday, Bloody Sunday    血で染められた日曜日、
Sunday, Bloody Sunday    血の日曜日。

And the battle's just begun    戦闘は始まったばかり。
There's many lost, but tell me who has won    命を落とした人は沢山いるが、誰が勝者なのか教えてほしい。
The trench is dug within our hearts    塹壕が僕らの心の中に掘られているんだ。
And mothers, children, brothers, sisters    母たち、子どもたち、兄弟姉妹たち、
Torn apart    みんな離れ離れになってしまった。

※※
Sunday, Bloody Sunday    血の日曜日、
Sunday, Bloody Sunday    血で染められた日曜日。

※繰り返し
※※繰り返し

Wipe the tears from your eyes    眼からこぼれる涙を拭うんだ、
Wipe your tears away    涙を拭い去るんだ。
Oh, wipe your tears away    涙を
Oh, wipe your tears away    涙を
(Sunday, Bloody Sunday)
Oh, wipe your blood shot eyes    血走った眼差しも、拭い去るんだよ。
(Sunday, Bloody Sunday)

Sunday, Bloody Sunday (Sunday, Bloody Sunday)    血の日曜日、
Sunday, Bloody Sunday (Sunday, Bloody Sunday)   血で染められた日曜日。

And it's true we are immune    「僕らには関わりの無いこと」ってのは確かにその通り。
When fact is fiction and tv reality    事実がフィクションであり、テレビが現実。
And today the millions cry    そして今、何百万の人が泣いている。
We eat and drink while tomorrow they die    僕たちが食べて飲んでいる間、また明日人々が死んでいく。

(Sunday, Bloody Sunday)

The real battle just begun    本当の戦闘は始まったばかり。
To claim the victory Jesus won    神が勝ち取った勝利を宣言するために
On...

※※繰り返し



イギリスとアイルランドに関する年表
uk.jpg12世紀 イングランドによるアイルランド支配がはじまるも、最初はゆるやかなものだった。

16世紀 イングランドの軍事的占領が強まる。同時期にイングランド国内で宗教改革が起こる(カトリック→プロテスタント化の流れ)。イングランドはアイルランドにも宗教改革を強要し、カトリックは弾圧の対象となってしまう。

17世紀 北アイルランドにはスコットランドとイングランドからの多数のプロテスタントが入植し、アイルランド先住民(カトリック)の土地を奪っていく。

1922年 英愛条約に基づいてアイルランド全島がアイルランド自由国としてイギリスの自治領になる。
しかし、北アイルランド政府はアイルランド自由国からの離脱を決定し、英連合への再編入を希望。カトリック国家のアイルランドへの合流を嫌っての結果。

1920年代以降 IRA(アイルランド共和軍)による北アイルランド政府へのテロ行為が断続的に続く。

1966年 IRAに対抗するためプロテスタント系の非合法の民兵組織「アルスター義勇軍」が組織され、カトリック住民に対するテロ行為を開始。

1960年代末 北アイルランドのカトリック地位改善を求めた「公民権運動」がプロテスタントと衝突。双方暴力の応酬となり英国軍が介入。プロテスタント+英国軍 VS カトリック(+IRA)の争いの構図となる。

1972年 「血の日曜日事件」発生。北アイルランド紛争は頂点に。同年、北アイルランド政府に解決能力がないと見た英国政府は北アイルランドを直轄統治にする。

1983年 U2、「ブラディ・サンデー」を収録した『WAR(闘)』リリース。1000万枚の大ヒットになり、政治問題・社会問題・宗教観などをストレートに表現するというU2のイメージを決定付けた。

1990年代以降 イギリス・アイルランド両国の経済が好転し紛争も沈静化。近年、北アイルランドでもカトリック人口が増加しつつあり、全人口の40%以上を占めるようになっている。

現在の英国政府は、「北アイルランドの帰属は住民の民主的決定に従う」としている。


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posted by すぱあく at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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