
私たち日本人にとって、中東諸国は地理的にも文化的にも「遠くて遠い国」なのですが、こうした映画を見ると少しだけ身近に感じることができます。内戦などで、教育の環境がほとんど機能していないアフガニスタンで、どうしても勉強したくなった女の子の物語です。
タリバンによって、バーミヤンの仏像が破壊された2001年以降のアフガニスタンが舞台。6歳の女の子バクタイは、隣人の男の子アッバスが教科書を読んでいる姿に憧れます。自分もどうしても学校へ行きたい。でも、家にはお金がありません。それなので、町へ出て卵を売り、ノートを買うことにしました。鉛筆を買うお金もないので、母親の口紅を鉛筆代わりにすることにします。道中、タリバンの影響を受けた少年たちに囲まれ「戦争ごっこ」に巻き込まれたり、結局学校へ通えなかったり、散々な目に遭うバクタイ・・・。
いろんなシーンが驚きの連続です。まず、女の子たちが住む家は、ほとんど「洞窟」のような住居。内戦続きで、生活に余裕がないのがわかります。また、学校もただ机があるだけで、校舎と呼べるほど立派なものはありません。
それでも、子供たちの目は、好奇心でキラキラしています。学校の教科書を見ただけで、喜びに溢れるバクタイの顔は何とも言えません。
混乱が収束しないアフガニスタン


しかし、それで「めでたしめでたし」にならないところが、この国の悲劇です。
結局、内戦が起こり、その中からタリバンが誕生。アルカイダと結びつき、2001年のアメリカ同時多発テロ事件の原因となります。その後はアメリカ軍による空爆などで、タリバン政権は崩壊。カルザイ氏が大統領となり、一応は収束します。それでも安定には程遠く、タリバンの残党に加えて、近年はISまで台頭。もうカオスです。
そんな国際情勢に翻弄される民衆と子供たち。映画『子供の情景』では、その無慈悲さをユーモアに包みながら描いています。
個人的には、学校の勉強なんて吐きそうなほど苦手でしたが、本作を見た後でなら「あぁ学校で勉強ができるって、とってもありがたいことなんだな」と感じてしまいます。
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