さて、そんな水木しげるの出世作といえば、もちろん『ゲゲゲの鬼太郎』ですが、前身にあたる作品があります。それが『墓場鬼太郎』。
出版社で連載する前の貸本漫画時代、さらにその前の紙芝居時代から、ずっと書き続けていた、まさに水木しげるの原点と呼べる作品です。
こちらの鬼太郎には特別な能力がなく、他の妖怪と戦うという使命感もありません。さらに、欲望のままに右往左往する人間を客観視して、
「父さん、人間っておもしろい生き物ですね」とシニカルに批評。かなりダークな性格です。
これじゃあまりに大衆受けしないので、メジャー化に向かう過程でキャラクター設定が変化していき、私たちがよく知るヒーローとしての鬼太郎になっていったんですね。
『ゲゲゲの鬼太郎』は1968年に初めてアニメ化し、大人気となります。その後何度もリバイバルし、2007年に5度目のアニメ化。これは日本のテレビアニメ史上最多記録で、鬼太郎はまさに国民的マンガといえます。
そして、なんと2008年には『墓場鬼太郎』まで奇跡のアニメ化。(゚◇゚;)ダーク鬼太郎出しちゃっていいんですか!!?と思いましたが、素晴らしく面白かったです。
大人になってみると、むしろダーク鬼太郎の方に親近感がわくことに気付きました。鬼太郎だけでなく、ねずみ男はさらにその上を行く鬼畜っぷりですが、いわゆる世の中の方もルール先行が行き過ぎて輪をかけてムチャクチャ。鬼太郎たちぐらいの壊れ方をしていないと潰れちゃうんですね。
なお、本作の声優は野沢雅子(鬼太郎)、田の中勇(目玉親父、※故人)、大塚周夫(ねずみ男、※故人)が務めています。この3人はなんと第1期(1968年)のメンツなんです。40年以上も本作と関わりがあるんですね。きっとほとんどの人が、目玉親父の声マネをしたことがあるでしょう。『ゲゲゲの鬼太郎』は本当に国民的マンガです。
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