個人所有のため、滅多に公開されることのない蜻蛉切。これを見逃す手はありません。というわけで、友人と静岡県三島市にある佐野美術館(公式サイト)まで見に行ってきました。
天下三名槍のひとつ蜻蛉切(とんぼきり)。本多忠勝(ほんだ ただかつ、1548〜1610年)が愛用していました。
徳川家康の重臣で、徳川四天王の一人。生涯に参加した合戦すべて、かすり傷一つ負わなかったと伝えられています。そのため、天下無双の武将というイメージがつきました。カプコンさんが『戦国BASARA』で悪ふざけして、ロボットにしちゃうぐらい強かったのです。ファンからは「ホンダム」の愛称で呼ばれています。
「蜻蛉切」という名前は、戦場で槍を立てていたところに飛んできた蜻蛉が当たって二つに切れたことから名付けられました。さぞかしスパスパ切れたのでしょう。「ホンダム」が持っているドラゴン殺しのような槍がそうですね。こりゃ興奮しちゃいますな。わざわざ静岡県まで出向いていく気持ちが少しはおわかりでしょう!
さて、これが実物の「蜻蛉切」。見たときは大きな衝撃を受けました。なぜなら、とても小さかったからです。刃長は43.7cm、片手で持てちゃう大きさでした。
ドラゴン殺しを想像していただけに、拍子抜けしてしまったことは否定できません。では、がっかりしたかというと、実はその逆。
なぜ、この槍が天下三名槍と呼ばれているのか、少しわかった気がしました。まず、とっても薄いことに驚きます。厚さはわずか1cm。あまりの薄さにポキッと折れてしまいそう。戦場で使うために作られたものでないことは一目瞭然です。
加えて、心に響く輝き。蜻蛉が乗ったら、本当にスパッと切れてしまいそうな磨かれ方です。刀工・村正の弟子、藤原正真(ふじわらの まさざね)の技術の粋が詰まっており、武器というよりもはや芸術品です。
まさに「百聞は一見に如かず」。本企画展「ひとの縁は、ものの縁 ―初公開の矢部コレクション―」は、2月15日(日)まで。歴史ファンは必見です!
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ラベル:戦国時代 美術館・博物館めぐり