2014年11月06日

極端な登場人物がとりわけ多い『倚天屠龍記』

itentoryuki.jpg『倚天屠龍記』(いてんとりゅうき、1961年)は、金庸の第七作目。『神G侠侶』の約一世紀後、モンゴル帝国が南宋を滅ぼし、国号をと称するも、その支配も陰りが見えてきた時代が舞台。

『射G英雄伝』『神G侠侶』、『倚天屠龍記』の三作は、明確な続編であるため、俗に「射G三部作」と呼ばれています。とはいえ『倚天屠龍記』は、『神G侠侶』から約一世紀も時代が経っているので、共通の登場人物はさすがに少ないです。

金庸作品には、あまり普通の人が出てきません。そんな中でも本作は、極端な登場人物がとりわけ多いです。主人公の張無忌(ちょう むき)は、超善人。子供の頃は病弱で、いつ死ぬかもわからない状況でした。辛うじて成長するも、周囲からイジメに遭ったり、数々の策謀、陰謀に巻き込まれたりします。しかし、性格が超素直なため、降りかかる苦難をみんな良い方に受け取ってしまいます。おかげで、困らせようと思っている連中も調子が狂う始末。

張無忌は男らしいというよりも、危なっかしくて見ていられないタイプ。おかげで複数の女性に好意を寄せられます。しかし、「この人」という決断ができないため、4人の美女をフラフラしているうちに、最後まで女難に悩まされます

しかし、張無忌は決して軽薄なわけではありません。むしろ、超がつくほど素直な彼のおかげで、複雑怪奇な江湖・武林が少しずつ整理されていくのです。といっても、彼にはそうした自覚がないところがまた面白いですが……


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posted by すぱあく at 06:00 | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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