物語のメインストーリーは、中国よりもさらに北部のモンゴル草原から始まります。ここでは若き武将が頭角を現していました。彼の名はテムジン。後のチンギス・ハーンです。あのモンゴル大帝国を作っちゃうチンギス・ハーンが始めから登場!! かなりのハイテンションぶりです。
主人公の郭靖(かく せい)はここモンゴルで生まれ、チンギス・ハーンの一族とともに育ちます。なぜ、漢民族の郭靖がモンゴルにいるのか。そこには出生にまつわる深い因縁があり、それがストーリーの根幹になっていきます。
少年の頃の郭靖は、読んでいる読者をもイラつかせるほど、頭も要領も悪いです。しかし、根は素直なので、時間をかけながら武術などを覚えていきます。そしてモンゴルを旅立ち、中国に向かうのでした。
当時の中国は、まさに混乱期。漢民族が建国した宋は弱体化し、北部を女真族が建国した金に奪われていました。南部をかろうじて守り南宋として再起を図るも金に防戦一方。しかも、モンゴル草原には新興のチンギス・ハーンまで登場するのです。劇中には、さまざまな民族の登場人物が現れて、とてもワクワクします。
そのうち、ヒロインの黄蓉(こう よう)が登場。利発で武術の腕もピカ一ですが、おてんば過ぎ。しかし、性格が真逆の郭靖とは相性がピッタリで、いつしか二人はベストカップルに。
中国人の友人たちの間では不評だったけど、個人的には2002年CCTV版の郭靖(李亞鵬)と黄蓉(周迅)のキャスティングはピッタリだと思いましたね。
二人はさまざまな人物と出会い、強敵と戦い、修業し、成長していきます。また、北はモンゴル、南は大理国(現・雲南省大理)、東は浙江、西はサマルカンド(現・ウズベキスタン)まで、大陸をくまなく移動します。そのスケールや巨大。本当に中国版『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)といっても過言ではありません。それでもとっても読みやすいので、ぜひご一読ください。
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