
ももしきや 古き軒端の しのぶにも
なほあまりある 昔なりけり
★歌意
宮中の荒れ果てた古い御殿の軒に生えている忍ぶ草を見るにつけても、(皇室の衰微が情けなく思われて、)偲んでも偲びつくせないほど慕わしいものは、(延喜・天暦の頃など)昔のよく治まっていた御代であることよ。
★解説
「ももしき」→皇居・宮中の意。
「しのぶにも」→シダ類の一種「忍ぶ草」と「偲ぶ」の掛詞。
「昔なりけり」→「昔」は皇室が栄えた過去。鎌倉幕府に実権を奪われた現状への嘆きと怒りが込められている。
★人物
順徳院(順徳天皇)(じゅんとくてんのう、1197年〜1242年)
第84代天皇。後鳥羽天皇(99番)の第三皇子。14歳で即位し、25歳で譲位します。この譲位は、父の承久の乱に参画するためのもので、父以上に討幕に積極的でした。しかし、乱は失敗に終わり、佐渡へ配流となりました。そのまま21年後に死去します。
父の影響で和歌に興味を持ち、藤原定家(97番)に師事して腕を磨きました。
★関連記事
・百人一首一覧
・日本史 年代別記事一覧