
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
忍ることの 弱りもぞする
★歌意
私の命よ、絶えてしまうなら(いっそのこと)絶えてしまっておくれ。このまま生き長らえていると、(恋心が募って)耐え忍ぶ心も弱ってしまう。(その結果、人に知られてしまうといけませんから。)
★解説
「玉の緒よ」→魂を身につないでおく緒のこと。つまり“命”の意。
「絶えなば絶えね」→勝手にどうにでもなれ、と激しい語調。
「弱りもぞする」→「もぞ」、「もこそ」(72番)で懸念の気持ちを表す。
★人物
式子内親王(しょくし ないしんのう、1149年?〜1201年?)
後白河天皇の第3皇女。10歳頃から11年間、賀茂神社の斎院を勤めました。天皇家の一員ながらいろいろと苦労しており、後に出家します。
和歌では藤原俊成(83番)に師事し、その子定家(97番)とも交流がありました。歌会などの参加記録が乏しい一方で、『新古今和歌集』に49首も収められており、この時代の代表的女流歌人だったと思われます。
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