
難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや 恋ひわたるべき
★歌意
難波の入り江に生えている芦の刈り根の一節ではないが、(そのように短い)あなたとの仮寝の一夜を過ごしたために、私はこれからずっと難波江の“みおつくし”のように、この身を尽くしてあなたを恋い続けることでしょうか。
★解説
「難波江の」→大阪湾の入り江。19番、20番にもあり。
「かりねのひとよゆゑ」→「仮寝」と「刈り根(=切り株)」、「一節」と「一夜」の掛詞。
「みをつくし」→「澪標」と「身を尽くし」の掛詞。→20番。
「恋ひわたるべき」→直前の「や」と呼応して係り結びの法則が働き、「べし」が「べき」に変化しています。
★人物
皇嘉門院別当(こうかもんいん の べっとう、生没年不詳)
源俊隆の娘。崇徳天皇(77番)の中宮皇嘉門院藤原聖子に仕えました。皇嘉門院聖子が摂政藤原忠通(76番)の娘で、九条家の藤原兼実の姉であることから、兼実家の歌会に参加していました。
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