
村雨の 露もまだひぬ まきの葉に
霧たちのぼる 秋の夕ぐれ
★歌意
にわか雨が通り過ぎて、そのしずくもまだ乾いていない真木の葉に、(早くも谷の方から)霧が立ち上ってくる(静かで寂しい)秋の夕暮れであることよ。
★解説
「村雨の露も」→「村雨」は急にばらばら降りすぎる雨。秋から冬にかけて降る。「露」はその村雨が残したしずく。
「まだひぬ」→「ひぬ」は“乾いていない”の意。
「まき」→杉・ヒノキの総称。
★人物
寂蓮法師(じゃくれん ほうし、1139年?〜1202年)
僧・俊海の子。叔父である藤原俊成の養子となり、出家前は藤原定長という名でした。『新古今和歌集』の撰者となりますが、完成を待たずに死去しました。
経歴
?歳:<従五位上>、中務少輔 30歳代:出家 63歳頃:死去
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