
ながらへば またこのごろや しのばれむ
憂しと見し世ぞ 今は恋しき
★歌意
(もしこの世に)生き長らえているならば、(辛いことの多い)この頃現在が、また懐かしく思い出されることであろうか。かつて辛いと思った過去が、今では恋しく思われることだから。
★解説
「ながらへば」→これから先も生き長らえていれば。
「憂しと見し世ぞ 今は恋しき」→辛くて思い出したくもない過去でさえ、今では懐かしくて恋しいものだ。であれば今の辛い境遇も、いずれは懐かしく思い出されるのだろうか。官位も低く、力を発揮できずに悶々としていた自分の境遇を反映したものと思われます。
★人物
藤原清輔(ふじわら の きよすけ、1104年〜1177年)
藤原北家。左京大夫・藤原顕輔(79番)の次男。崇徳院より父・顕輔が勅撰集『詞花和歌集』の編さんを命ぜられ、清輔もその補助に当たりましたが、顕輔と対立しほとんど清輔の意見は採用されませんでした。その後も父に疎まれ昇進面で支援を得られなかったため、40歳代後半まで位階は従五位下に留まりました。
経歴
?歳:<従五位下> 52歳:<従四位下> ?歳:<正四位下>、太皇太后宮大進
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