長からむ 心も知らず 黒髪の
みだれて今朝は ものをこそ思へ
★歌意
末永く変わることなく愛して下さるかどうか、あなたのお心のほどもわかりませんので、(昨夜の寝乱れた)黒髪のように私の心も乱れて、今朝は物思いをすることです。
★解説
「長からむ心」→末長く女性を忘れまいという男性の心。
「知らず」→当てにできない、期待できない。
「黒髪の乱れて」→黒髪の乱れのように、心も乱れての意。とても官能的な表現です。
「物をこそ思へ」→「思へ」は命令形ではありません。昔、学校で習った係り結びの法則です。「こそ」という係助詞が入ったため、文末は已然形の「思へ」に変化するという法則です。たしかに、やりましたね〜、そんなの。
★人物
待賢門院堀河(たいけんもんいん の ほりかわ、生没年不詳)
源顕仲の娘。鳥羽天皇の中宮・待賢門院藤原璋子に出仕し、堀川という女房名で呼ばれるようになりました。
NHK大河ドラマ『平清盛』(2012年)では、りょうが演じました。優れた歌人で、歌を通じて知り合った佐藤義清(後の西行法師、演:藤木直人)と恋愛関係になります。史実でも西行とは交流があり、それがドラマにも取り入れられたようです。主人の璋子(演:檀れい)が宮中を追われると共に出家しました。
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