わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの
雲居にまがふ 沖つ白波
★歌意
大海原にこぎ出して眺めると、白い雲と見間違えるような沖の白波がたっていることよ。
★解説
「わたの原」→大海原。参議篁(11番)も歌いました。
「ひさかたの」→「雲居」にかかる枕詞。
「まがぶ」→見分けがつかなくなる。
「沖つ白波」→「つ」は「の」に当たる格助詞。
★人物
法性寺入道前関白太政大臣(藤原忠通)(ふじわら の ただみち、1097年〜1164年)
摂政関白太政大臣・藤原忠実の長男。13歳で公卿に列し、25歳で関白に。摂政と太政大臣を2度も務めたTHE・時の権力者。別荘を法性寺の傍らに営んだので法性寺殿とも呼ばれました。
NHK大河ドラマ『平清盛』(2012年)では、武士の存在を見下すイヤ〜な役(演:堀部圭亮)で登場。しかし、彼と弟・頼長との対立が保元の乱(1156年)の一因となります。さらに、平治の乱(1160年)を経ると、内乱の収束に活躍した武士とりわけ平清盛が率いる平家が台頭してきます。
最終的にはあれだけ見下していた平家に恭順。息子の基実と清盛の娘を結婚させて、平家と縁戚関係を結びます。ただ、それも藤原摂関家を残そうとする意地や執念とも言えます。事実、彼らの血筋はこの現代に至るまで脈々と続いています。
経歴
;公卿前
10歳:元服。<正五位下>→侍従 11歳:右近衛権少将→右近衛中将→<従四位下>→
播磨 権守 12歳:<正四位下>
;公卿後
13歳:<従三位>→<正三位> 14歳:権中納言→<従二位> 15歳:<正二位> 18歳:権大納言→内大臣
22歳:左近衛大将 25歳:関白。 26歳:<従一位>→左大臣→(辞)関白。摂政。(続)左大臣
32歳:太政大臣。(続)摂政→(辞)太政大臣。(辞)摂政。関白 45歳:(辞)関白。摂政
52歳:太政大臣。摂政(続) 53歳:(辞)太政大臣。(辞)摂政。関白 61歳:(辞)関白。
65歳:出家 68歳:死去。
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