憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ
はげしかれとは 祈らぬものを
★歌意
(私の恋ごころに対して)冷淡であった人を、(その人の心がこちらになびくようにと初瀬の観音にお祈りはしたのだが)初瀬の山おろしよ、(お前のように、冷淡さが)ますます激しくなれとは祈らなかったのになぁ。
★解説
「憂かりける人を」→私に対して冷淡であった人を。
「初瀬」→奈良県桜井市初瀬の長谷寺のこと。
「山おろし」→山から吹きおろす激しい風。
「祈らぬものを」→「ものを」は逆接の助詞で詠嘆の気持ちを含む。
★人物
源俊頼朝臣(みなもと の としより、1055年〜1129年)
源経信(71番)の子。篳篥(ひちりき)に優れ、堀河天皇近習の楽人として活躍。1124年、白河法皇の命により『金葉和歌集』を撰集。革新的な歌を詠み、当時の歌壇の中心的存在でした。公卿まで行かなくても存在感があった人物の好例。
経歴
<従四位上>木工頭(50歳)→越前介(55歳)→死去(74歳)
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