
音に聞く 高師の浜の あだ波は
かけじや袖の 濡れもこそすれ
★歌意
うわさに高い高師の浜の、むなしく打ち寄せる波を、うっかり袖にかけますまいよ。袖がぬれるかもしれませんので。――浮気で評判の高いあなたの言葉は心にかけませんよ。あとで袖が涙でぬれることになるといけませんから。
★解説
「音に聞く」→うわさに名高い。
「高師の浜」→大阪府堺市浜寺付近の海岸。地名と評判が「高し」の掛詞。
「かけじや」→思いを「かける」意と波を「かける」意。
「袖のぬれもこそすれ」→涙で袖が「ぬれる」意と、波で「ぬれる」意。
★人物
祐子内親王家紀伊(ゆうしないしんのうけ の きい、生没年不詳)
後朱雀天皇の皇女祐子内親王の女房。紀伊守藤原重経の妹(または妻とも)のため、この女房名が付けられました。家集を残すほど優れた女流歌人として有名だったようですが、伝記的情報はほとんど伝わっていません。
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