さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば
いづくも同じ 秋の夕暮
★歌意
(あまりの)寂しさに耐えかねて、わが家を出てしみじみとあたりを眺めてみると、どこもかしこも同じであることよ。この秋の夕暮は。
★解説
「宿を立ち出でて」→「宿」は作者が住んでいた京都大原の草庵のこと。
「ながむれば」→しみじみとした思いで物を見つめること。
「秋の夕暮れ」→日本人が秋の夕暮れに寂しさを感じるのは古来から同じようで、この歌は代表的なものになっています。
★人物
良暹法師(りょうぜん ほうし、生没年不詳)
出自・経歴についてはほとんど不明。比叡山(天台宗)の僧で祇園別当となり、その後は大原(京都市左京区)に隠棲し、晩年は雲林院(京都市北区)に住んだといわれています。
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