
春の夜の 夢ばかりなる 手枕に
かひなく立たむ 名こそ惜しけれ
★歌意
春の夜の夢のように(はかない、かりそめの)あなたの手枕によって、(実際は共寝するわけでもなく、そのような二人ではないのに)つまらなく立つであろう浮き名が、なんとも口惜しいことです。
★解説
「春の夜の夢」→短くはかないものの比喩。
「手枕」→腕枕のことで男女が共寝すること。
「名こそ惜しけれ」→相模(65番)の歌にも出てきた表現。(私の)名が、まことに口惜しいです。
★人物
周防内侍(すおう の ないし、生没年不詳)
桓武平氏周防守の平棟仲(たいら の むねなか)の娘。父の役職から周防内侍という女房名で呼ばれました。本名は平仲子(たいら の ちゅうし)。後冷泉、後三条、白河、堀河の4天皇に仕えました。主要な歌合にも度々参加し、公家・殿上人との贈答歌も残されています。
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