主なキャストは以下の4人。2人1組の男女で構成された、一見するとシンプルなストーリー。
・トニー・レオン(梁朝偉) ・フェイ・ウォン(王菲)
・ブリジット・リン(林青霞) ・金城武
今や中華圏を代表するビッグスターの彼らも当時は若手。しかも、日本ではほとんど無名でした。それを一躍有名にした作品です。本作にはクリストファー・ドイルの斬新なカメラワーク、シンプルなのか複雑なのか判断しにくいストーリー、耳に残って離れないママス&パパス『夢のカリフォルニア』など、語り尽くせない魅力がこれでもかと詰め込まれています。
個人的な感想を言うと、本作の魅力は無国籍な感じにあるのかなと。
舞台は香港の一角「重慶大厦」と明確に定まっています。
しかし、あの猥雑さはどこの国にもありそうですし、一方でおとぎ話の世界のようにどこにもなさそうな感じもします。
そして、無国籍を象徴するシーンが、金城武がバーでブリジット・リンに話しかける有名なシーンです。
請問妳鐘不鐘意食菠蘿?(広東語)
あのさ〜、パイナップル好き?
Do you like pineapple?(英語)
请问你喜欢吃凤梨吗?(北京語)
本作を見た多くの人の脳裏に、鮮明に残っていると思われるこのシーン。
4つの言語をフツーに使い分ける金城武。彼は実際に、これに加えて台湾語も話せます。
このシーンを見て私は単純に、これだけ話せると楽しいだろうな。世界が広がるだろうな。いろんな国の人と友達になれるだろうなと思いました。
心からワクワクする感覚。残念ながら、学校の英語の授業ではそれがありませんでしたね。
日本の英語教育というのは甚だ意味不明です。
「この前置詞が指しているのは、どこか?」 「定冠詞 a とthe の違いは何か?」
??? 学者になるわけじゃないんだからさ。下手でも交流できればいいんだよ。
あの目的も意味も不明な“英語”と呼ばれる授業やテストに打ち込める人は、本当にスゴイと思います。
私は100年の時間が与えられても、成績を上げる自信はないな。
折しも、オリンピック招致が決定し、2020年には放っておいても大勢の外国人が来ます。
そのときに、外国人から道を聞かれたときに「あっ、私、英語が話せないんで、ごめんなさい」と言うのか、
下手な英語でいいから「ゴー・ストレート・アキハバラ」というのか。
まさに、日本の「おもてなし」が世界から問われるときが来ます。
「おもてなし」とは言葉のうまさではなく、心のこもり方だと思います。
外国語を身に付けるワクワクした気分、そして無国籍になったときに広がる新しい世界。
そんな感覚を『恋する惑星』は、教えてくれます。
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