以下の点で異色のマンガです。
・冒険に出ない主人公
・直接的な攻撃をしない能力
冒険に出ない主人公
たいていの小説・マンガでは、物語が進むにつれて、舞台が変わります。RPGでは、苦心惨憺さまざまな世界を旅して、やっとラスボスのところに辿り着きます。
そこへ行くとこの『結界師』の舞台は、終始一貫して自宅の周辺です。たしかに、珍しいですよね。
主人公は二人。墨村良守(すみむらよしもり)と、隣に住む雪村時音(ゆきむらときね)。
彼らの一族は代々、空間を操る結界術という能力を持っています。
そして、二人は夜になると自宅の近くにある自分たちが通っている学校に行きます。
その学校こそ終始一貫した舞台なのです。
ここは烏森(からすもり)と呼ばれる土地の上に立っています。霊的な力が強すぎるため、夜になると妖怪が出てくる。そこで、彼らの一族は妖怪を退治する仕事をしているわけです。
物語が進むにつれて、烏森の不思議な力を我が物にしようという一派が出てきて、良守と時音は対決します。
また、なぜ烏森が妖怪を呼び寄せるようになったのかも明らかになってきます。
すると、舞台が烏森からほとんど動いていないにも関わらず、とんでもない壮大な全体像が明らかになります。この物語の構成力にただ驚くばかりです。
・デジタル版全巻 ・コミックス版全巻
直接的な攻撃をしない能力
彼らが使う結界術は、直接ビームが出るような能力ではなく、空間に妖怪を閉じ込めて圧殺するというもの。週刊少年ジャンプ系能力バトルのように直接的な攻撃をしない分、若干地味な能力です。
ただ、この空間を操る能力は、非常にいろんな応用ができます。四角いボックスを作って、上に乗っかるとかね。
私はこれを見たとき、ファミコン黎明期の『ソロモンの鍵』(1986年、テクモ)や『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』
(1987年、コナミ)みたいだなと思いました。
これらのゲームでも、空間にブロックや鬼瓦を作って足場にしていました。ブロックの置き方によって、ゲームの展開も変わってくる頭を使うゲームでした。
この『結界師』も、単純な力の強大さでなく、頭脳で戦っていく要素が強く、まさにパズルゲームを見ている感じでした。
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