2013年07月16日

百人一首56 和泉式部

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あらざらむ この世のほかの 思ひ出に
 いまひとたびの 逢ふこともがな

★歌意
(私は間もなく死んで)この世にはいないでしょう、だから死んだ後の、あの世での思い出にするために、せめてもう一度、あなたにお逢いしたいものです。


★解説
「あらざらむ」を漢字で書くと「在らざらむ」で、「生きてはいないでしょう」という意。「この世」を修飾します。
「今ひとたびの」は、「せめてもう一度」と強く願う気持ち。
「逢う」は、単に会うだけでなく、夜をともに過ごすという意。
病気になって死期を悟った女性が、恋しい人に対して捧げた情熱的な歌という設定です。


★人物
和泉式部(いずみ しきぶ、978年頃〜没年不詳)
越前守・大江雅致の娘。和泉守・橘道貞と結婚。「和泉式部」という女房名は夫の任国から来ています。道貞との間に儲けた娘・小式部内侍(60番)は母の血を受け継いで歌才を発揮しました。

和泉式部は美人であったため、様々な男性と恋愛を重ねていきます。道貞と離婚後は、冷泉天皇の第三皇子・為尊親王と熱愛。彼の死後は、なんとその弟・敦道親王に愛されます。
敦道親王の死後は、一条天皇の中宮・藤原彰子に女房として出仕。その縁で、藤原保昌と再婚しました。
彼女の恋愛遍歴は、恋愛に奔放だった平安時代の人から見てもかなり突出していたようで、時の権力者・藤原道長からは「浮かれ女」と評されます。また同僚女房であった紫式部からは「恋文や和歌は素晴らしいが、素行には感心できない」(『紫式部日記』)と評されました。


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posted by すぱあく at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 百人一首 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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