2013年06月13日

百人一首51 藤原実方朝臣

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かくとだに えやはいぶきの さしも草
 さしも知らじな 燃ゆる思ひを

★歌意
このように(あなたを恋い慕っている)とさえも打ち明けることができないのですから、まして伊吹山のさしも草ではないが、それほど恋焦がれているとはご存じないことでしょうね。私の心の中で燃えさかる思いを。


★解説
「かくとだに」は、「このように(恋い慕っている)とさえも」の意。「だに」は、軽いものをあげて言外に重いものを推測させます。

「いぶき」は「言ふ」に「伊吹山」を掛けた掛詞。伊吹山は滋賀県米原市と岐阜県揖斐川町にまたがる山です。
「さしも草」は「よもぎ」の異名で、次に出てくる「さしも」の序詞。


★人物
藤原実方(ふじわら の さねかた、生年不詳〜999年)
花山・一条両天皇に仕え、従四位上・左近衛中将に至ります。しかし、995年に一条天皇の面前で藤原行成と歌について口論になり、暴力をふるいます。やられた行成は取り乱さず大人の振る舞いをしますが、行成は一条天皇の怒りを買い、「歌枕を見てまいれ」と命じられ、陸奥守に左遷されます。一方の行成は蔵人頭に抜擢されました。
999年、左遷先である陸奥国(東北地方)で乗っていた馬が突然倒れ、下敷きになって没しました。いつの世も「短気は損気」ということですね。

これだけ見るとトホホな感じですが、実は風流人で、清少納言の他20人以上の女性と交際していたそうです。それなりに楽しい人生だったんじゃないですかねぇ。


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posted by すぱあく at 08:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 百人一首 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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