ネットにあった情報で初めて知ったのですが、
マンガ版『封神演義』

その伏線は、連載終了後にコミックスを全巻並べてみることで、初めて気付きます。

逆立ちしている人物が二人だけいます。
崑崙山の仙人にして、人間界の周の軍師太公望と、金鰲島(きんごうとう)の仙人で大幹部の王天君。
敵として死闘を繰り広げるこの二人ですが、物語のラストのラストで
もともとは同じ人物で、魂が分離して二人になっていたことが明らかになります。
そんな大風呂敷を連載初期から広げていたというのでしょうか? ゆでたまご先生なら隣のコマですら矛盾があるというのに!?
さてこのマンガは、中国の明代につくられた『封神演義』がルーツです。
80年代に安能務の小説

舞台は紀元前11世紀、人間界は殷(中国では「商」と呼んでます)の紂王による暴政が続いていました。
その暴政を打ち砕こうと周が殷に戦いを挑みます。太公望はその周の軍師でもあります。
人間界では殷 VS 周が、
仙人界でも人間界への関わりを巡って崑崙山 VS 金鰲島の仙界大戦が勃発。なかなかアツいマンガです。
太公望と王天君は、元の一つの人格に戻るために融合します。そして、かつての記憶を取り戻します。

自分は伏羲(ふっき)だったこと思い出す太公望。 伏羲??? あの三皇の伏羲!?
●三皇って何?

中国にも天地創造の神話があり、人や大地をつくったのが、
三皇である伏羲・女媧・神農(組み合わせは諸説あり)と言われています。
伏羲と女媧(じょか)は、兄妹または夫婦とされており、体は蛇の姿になっています。
で、マンガ『封神演義』においては、伏羲と女媧たちは他の惑星から来た異星人という設定です。なんというトンデモ設定!?
進み過ぎた文明で自分たちの惑星が滅び、宇宙船に乗って太古の地球にやってきました。
女媧は元からいる地球の動植物を破壊して、新しく世界を作ろうとします。
しかし、伏羲とその他の異星人仲間は、女媧の過激な考えを危険視して封印します。
女媧は封印されながらも、狐の妖怪・妲己などを使って、地球の歴史に介入してきました。
だが、もう女媧の好きにはさせないと仙人の精鋭たちが最終決戦に突入!!
女媧は、まんま異星人の姿です。

死闘の末に、女媧を倒すことに成功した仙人たち。
同時期に人間界では、史実通り「牧野の戦い」で周が殷を破り、新しい王朝を開きました。
以後、仙人たちは、人間界に干渉しないようにし、物語は幕となります。
本場・中国の人が本作を見たら、「天地創造の神を異星人にして、ラスボスにするとは何事か!!」と思うかもしれませんが、まぁそこはマンガなんで大目に見て。
美形キャラを多く出したことにより、中国史ファンのすそ野を広げた功績は大きいと思います。

原作通りにお爺さん仙人をわんさか出したら、きっとこんなに人気は出なかったでしょうね。
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