
組織形態がわかりにくいので、ざっくり説明すると・・・
1 300年の歴史がある
2 会員のほとんどは、イギリスの上流階級
3 会員資格は、親から子へ受け継がれる
4 会員はイギリス人男性限定だったが、
1969年に外国人男性が、翌70年には女性もOKになった
5 会員は数人から数十人のグループとなってシンジケートを形成し、
引受代理店を選定して保険の引受関係業務を行わせている
6 1996年から、日本にもロイズの総代理店、ロイズ・ジャパンが設立された
私たち日本人庶民には想像しにくいですが、
欧米の上流階級は何世代にもわたって財産を守っていきます。
戦争・政変・金融恐慌などが起こっても大丈夫なように、
一族で財産を守り、少しずつ増やしていくのでです。
そのために、「プライベートバンク」と呼ばれる個人資産を管理する銀行やロイズ保険組合などが発展してきたのです。
かつて、イギリスの上流階級しか相手にしていなかったロイズ保険組合では、日本人は眼中にありませんでした。
それでも、ロイズの会員になれた日本人がたった2人だけいたと言われています。
一人は、世界的な博物学者・南方熊楠の大甥で、元長崎県立大教授の南方哲也。
そして、もう一人が今回のテーマである田中清玄(たなか きよはる:せいげん、1906年〜1993年)です。
本書は田中清玄の自伝です。彼は一口で説明することが困難な傑物です。
右翼だし、実業家だし、CIAのエージェントだし、フィクサーだし・・・
人脈もケタ違いです。
昭和天皇、山口組三代目組長・田岡一雄、経団連会長・土光敏夫、
ケ小平、インドネシア・スハルト大統領、
アブダビのシェイク・ザイード首長、
ハプスブルク家、ノーベル経済学者ハイエク・・・
皇族、政界、財界、学界、闇社会・・・。アジア、中東、欧米に至るまで大活躍!!
この人、民間人ですよ。何で大統領とガチで石油利権の話とかできんの?
ロイズの会員になれたのも、アラビアの旧イギリス領内で油田を掘り当てた勲功からだとか・・・。
読んでいてΣ(゚Д゚;「あんた、一体何者だよ!!」と突っ込んでしまうでしょう。
本書の内容がすべて真実なのかはわかりません。
しかし、戦後の混乱期から高度経済成長期にかけて、こういった傑物たちが活躍(暗躍)したことが今日の日本につながっていることは間違いありません。
一時期、田中清玄は岸信介(安倍晋三首相の祖父)と右翼で岸のフィクサーだった児玉誉士夫と政治的に対立していたようです。
アベノミクスに沸く今だからこそ、本書を読むのは好機かもしれません。
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ラベル:ハプスブルク家