
忍ぶれど 色にいでにけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで
★歌意
心ひそかに包み隠していたけれども、私の恋心は
とうとう顔色や表情に表れてしまったことよ。
「恋の物思いをしているのか」と、人が怪しみ尋ねるほどまでに。
★解説
とてもわかりやすい歌です。
恋心がわからないように「忍ぶれど」、「色に出でにけり」なんです。
その様子に他人から突っ込まれます。「物や思ふと?」
時代が変わっても共感できる歌です。
★人物
平兼盛(たいら の かねもり、生年不詳〜991年)
三十六歌仙の一人。最終官位は従五位上・駿河守。光孝天皇(15番歌歌人)の玄孫にあたる皇族でしたが、
950年に越前権守に任命されたときに臣籍降下し平姓になります。
960年、村上天皇の列席で「天徳内裏歌合」(てんとくだいり うたあわせ)が行われたとき、
壬生忠見(41番歌歌人)と対決し、双方すばらしい歌と評された中、僅差で勝ちを得たエピソードが有名です。
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