浅茅生(あさじう)の 小野の篠原 しのぶれど
あまりてなどか 人の恋しき
★歌意
低い茅(ちがや)の生えている野の篠原の「しの」という言葉のように、
(私は慕わしい心をおさえて)思い忍んでいるけれども、どうにもこらえきれないで、どうして、あなたがこんなにも恋しいのであろうか。
★解説
「浅茅生」は茅草のまばらに生えている所で、「篠原」は篠(細竹・小竹)の生えている野原のことです。
「あまりて」は、「(忍ぶに)あまりて」の意で、耐えきれないこと。
女性に対するこらえきれない恋心の不思議さとやるせなさを自分自身に問いかけている歌です。
★人物
参議 等(源 等)(さんぎ ひとし、みなもと の ひとし、880年〜951年)
嵯峨源氏で、中納言・源希(みなもと の まれ)の次男。
さまざまな土地の地方官を歴任しながら順調に出世し、947年に参議に任ぜられ公卿に連なります。最終的な官位は正四位下。72歳まで生きた長寿の人です。
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