2013年04月25日

百人一首35 紀貫之

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人はいさ 心も知らず ふるさとは 
 花ぞ昔の 香ににほひける

★歌意
あなたは、さあ?、(心がお変わりになられたかどうか、その)お心のほどは私にはわかりません。
しかし、昔なじみのこの里では、梅の花だけが、もとのままの香りで、美しく咲きにおっていることですよ。


★解説
心変わりがテーマですが、和歌によくある男女の心変わりではありません。
『古今和歌集』の詞書に本歌の説明があります。
知人の宿に長い間泊まらないで久しぶりに訪れたところ、
その宿の主人が「このとおりちゃんと宿はありますよ。ずいぶんお久しぶりですね」と嫌味を言ったので、
近くにあった梅の花を折って詠んだ歌とあります。嫌味に対して、ユーモアを交えて返答した歌ということです。


★人物
紀貫之(き の つらゆき、866年頃〜872年頃)
905年、醍醐天皇より初の勅撰和歌集である『古今和歌集』の編纂を命じられ、
従兄弟の紀友則(33番歌歌人)、壬生忠岑・凡河内躬恒と共に編纂しました。
『古今和歌集』の仮名による序文である仮名序は紀貫之によるもので、編者の中でもリーダー的人物と言えます。

勅撰和歌集には435首の歌が収められており、数はダントツの首位。日本文学史上、最大級の歌人といえます。

930年には土佐守に任じられて赴任し、935年に京都に戻ります。この紀行を参考に書いたのが『土佐日記』で、日記文学では最古のものです。これが後の随筆や女流文学に大きな影響を与えました。


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posted by すぱあく at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 百人一首 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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