


(荒木飛呂彦、1995年〜1999年)の後日談を描いた外伝小説です。
ジョジョファン以外が読んでもあまり意味がないのですが、ジョジョ第5部に思い入れがある人にとっては特別な感情が沸き起こってくることでしょう。
私にとってもジョジョ第5部は特別です。これがなかったら今の私は存在しません。
嘘でも大袈裟でもなく。
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ジョジョ第5部の舞台はイタリアで、マフィアのボスの座をかけて死闘を繰り広げる話です。
以下は、ざっくりとした登場人物図(青色は最終的に死亡した人物)。

・ジョルノ・・・主人公。ギャングスターになるために、マフィア「パッショーネ」に入団し、ボスの座を狙う。
・ブチャラティ、ミスタ、アバッキオ、ナランチャ・・・ジョルノの仲間たち。
・フーゴ・・・ジョルノの仲間だったが、ディアボロを恐れて戦線離脱。小説版の主人公。
・ディアボロ・・・「パッショーネ」のボスで最強最大の敵。
ラスボスのディアボロは、無敵に近い強さでした。彼のスタンド「キングクリムゾン」は、
時をふっとばすという訳のわからない能力を持っており、ジョルノの仲間たちは次々に死亡してしまいます。
しかし死闘の末、ジョルノは勝利し、見事にマフィア「パッショーネ」のボスになったのです。
物語はここで終わります。
物語が終わったとき、皆が思ったはずです。「フーゴはどうなったのだろう?」と。
フーゴはディアボロを恐れて戦線離脱しました。物語のキャラクターとしては、マイナスです。
「恥知らず」「弱虫」「チキン野郎」「卑怯者」と思うかもしれません。
しかし、とても現実的な選択です。
実際のところ人間は誰でも、フーゴのように戦いを避けてしまうことが多々あるのではないでしょうか。
それだけに、きっと多くの人が、ジョルノがボスになった後のフーゴの状況をあれこれ考えたと思います。
・ジョルノに抹殺されたか?
・チャンスを与えられて、復帰したか?
・やさぐれて廃人になったか?
・新たなマフィアを創設して、ジョルノのライバルとなったか?
そんななか、2011年に小説『恥知らずのパープルヘイズ』が出版されました。
第5部の後日談で、しかもフーゴが主人公とのこと。
気になる。とても気になる。フーゴ、君はどんな心境で今を生きているんだ?
結論から言うと、本作はジョジョファンたちが膨らませていた想像を見事に回収してくれています。
そして、これ以上にない素晴らしい形で終わります。
ジョジョファンは作品への思い入れが強くて熱狂的なため、
作者の上遠野 浩平(かどの・こうへい)は、きっと巨大なプレッシャーがあったと想像できます。
しかし、むしろ作者自身が、相当なジョジョファンと思われます。
だって、超マニアックな伏線とか張っているんだもの。
だからこそ、このようなファンが納得する小説を完成させることができたのかもしれません。
ジョジョファン限定ではありますが、オススメの一冊です。
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