
山川に 風のかけたる しがらみは
流れもあへぬ 紅葉なりけり
★歌意
山あいを流れる川に、(人間ではなく)風がかけ渡したしがらみは、
流れようとしても流れることができずに散りたまっている紅葉であったことよ。
★解説
「山川」は、「山間の川」のことで“やまがわ”と読みます。
“やまかわ”だと「山と川」の意味になってしまいます。
ここでの「しがらみ(柵)」は、川の流れをせきとめるために杭を打って、
竹や柴などをからませた装置のこと。
谷川の細い流れに散ってたまっている紅葉の美しさを表現した歌です。
★人物
春道列樹(はるみち の つらき、生年不詳〜920年)
詳しいことはあまり伝わっていません。官位は末席の六位。
920年に壱岐守(長崎県・壱岐島)に任じられましたが、赴任前に没しました。
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