
みかの原 わきて流るる いづみ川
いつみきとてか 恋しかるらむ
★歌意
みかの原を分け貫いて、わき出て流れる「いずみ川」という名のように、
いつ見た(いつあの人に逢った)ということで、どうしてこんなにも恋しく思われるのであろうか。
★解説
京都に流れている木津川は、かつては「いずみ川」と呼ばれており、その北岸一帯は「みかの原」と呼ばれていました。「わき」は「湧く」と「分く」の掛詞です。
「見」は、見るという意味ではなく、「男女が逢うこと」を指します。
「恋しかるらむ」の「らむ」は原因推量の助動詞で、「どうしてこんなにも恋しく思われるのであろうか」という意味になります。
★人物
中納言兼輔(藤原兼輔)(ふじわら の かねすけ、877年〜933年)
最終官位は権中納言従三位。貴族官僚としても高位に上りましたが、和歌の方でも才能を発揮しました。
兼輔の邸宅には、紀貫之(35番歌歌人)や凡河内躬恒(29番歌歌人)といった才能ある歌人が多く集まり、彼らを支援していました。
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