2012年12月21日

百人一首22 文屋康秀

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吹くからに 秋の草木の しをるれば
 むべ山風を 嵐といふらむ

★歌意
吹きおろすとすぐに、秋の草木がしおれてしまうので、
なるほど、(それで)山から吹きおろす風を、荒々しい山風すなわち「嵐」というのだね。


★解説
「秋の」とあるので木枯らしではなく、台風のような強風と思われます。「むべ」は「なるほど」と訳す副詞。「あらし」は「嵐」と「荒らし」の掛詞です。「らむ」は推量の助動詞なので、「そうかもしれませんね」という感じで訳します。


★人物
文屋康秀(ぶんや の やすひで、生年不詳〜885年?)
六歌仙の一人です。ただ、紀貫之は「古今和歌集」の序文のなかで、「言葉は巧みだが、内容は俗っぽい」といった意味の批評をしています。役人としてはとくに出世することもなく終わったようです。

六歌仙の中ではあまり華がない感じがするなぁと思っていたら、他の人にはないロマンチックな面がありました。それは同じ六歌仙で絶世の美女と言われた小野小町9番歌歌人と親密だったことです。
文屋康秀が三河国に赴任する際に小野小町を「いっしょに来てくれませんか」と誘いました。それに対し小町は
「わびぬれば 身をうき草の 根を絶えて 誘ふ水あらば いなむとぞ思ふ」(こんなに落ちぶれて、我が身がいやになったのですから、根なし草のように、誘いの水さえあれば、どこにでも流れてお供しようと思います)と歌を詠んでOKの返事をしたようです。


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posted by すぱあく at 18:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 百人一首 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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