今の世の中は「下積み」をバカにする風潮があります。
私も出版社時代は住み込みで研鑽を積みましたが、「時代錯誤だ」「何、泥臭いことをやっているんだ」とあからさまにバカにした人もいました。
一朝一夕で大きくなれる人はいません。後世で「天才」と呼ばれる人たちでさえ、修業してその地位まで昇りつめたのです。
であれば、凡人ならなおさら努力が必要でしょう。しかし残念ながら、自分を凡人とは思っていない、または思えない人が多くいることに気付きました。彼らにとっては修業は必要のない行為なのだと思います。
これはビートたけしの浅草での修業時代の自伝的エッセイです。
昭和47年、大学を中退したたけしは、浅草フランス座に飛び込んで芸人修業を開始しました。ダンディな深見師匠、気のいい踊り子たち、乞食のきよし等愉快な仲間に揉まれながら、自分を発見していきます。
後の大コメディアンで世界的映画監督となったビートたけしでさえ、無名時代があり、修行時代があったのです。夢を胸に抱いてもがいている人は、きっと勇気をもらえるでしょう。
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