
私も最近、中学・高校時代に夢中で読んでいた『ギターブックGB』(2003年休刊、出版社のソニー・マガジンズも今は亡き)を発見し、アドレナリンを大量分泌させながらページをめくりました。
そこには、ユニコーン(1986年〜1993年解散、2009年再結成)の特集が載っていました。奥田民生さんがフロントマンを務めて数々のヒット曲を世に送り出し、今のアラフォー世代を虜にさせた伝説的なバンドです。

今の奥田民生さんは、釣り好きのオジサンという感じで、すでに「仙人」のような風格を持っています。しかし、ユニコーン時代の彼を見ると、いやはや髪型も服装もカラフルですねぇ・・・。


さて、奥田民生さん、およびユニコーンは幅広い世代に愛されています。
その理由を分析してみると、「幅広い年代の曲を歌っているから」だと思います。
要するに、彼は10代のときには10代の、20代のときには20代の、30代のときには30代の、40代のときには40代のときの心象風景を曲に込めて歌ってきました。だからこそ、あらゆる世代に愛されるバンドになったのではないかと思います。
実際に彼のディスコグラフィーを見てみます。(w…wikipedia、ソロ…奥田民生ソロ)
●10代の心象風景
・「Maybe Blue」(『BOOM』

・「SUGAR BOY」(『PANIC ATTACK』

●20代の心象風景
・「働く男」(『ケダモノの嵐』

・「ヒゲとボイン」(『ヒゲとボイン』

・「雪が降る町」(『THE VERY BEST OF UNICORN』

●30代の心象風景
・「すばらしい日々」(『SPRINGMAN』

・「大迷惑」(『服部』

・「イージュー★ライダー」(ソロ 『股旅』

●40代の心象風景
・「息子」(ソロ 『29』

・「WAO!」

●50代の心象風景
・「「半世紀少年」

ここまで幅広い年代の曲を歌えるということは、おそらく奥田民生さんが
年齢を重ねることにポジティブなのだと思います。
一般的に人間は年齢を重ねることにネガティブです。
若い頃どんなにイケメン・美人でも、年齢を重ねればメタボのオッサン、しわくちゃのオバサンになってしまいます。これはどんな人間も避けられない宿命です。
とくにアーティストたちは年老いていく自分を認めたくない傾向が強いと思います。
例えば、三島由紀夫は年を取ることに憎悪を抱いていました。彼は40代で自決しますが、国を憂いての自決というよりは、もしかしたら若いまま死にたかったのかもしれません。
また、10代のカリスマだった尾崎豊が仮に死なずに生きていたとして、中年男性の悲哀を綴った「45歳の地図」なんていう曲を歌ったでしょうか。そんな自分を想像すらしたくなかったからこそ、あのような死を迎えたのかもしれません。ちなみに、爆風スランプは「45歳の地図」を歌っています。
とはいうものの、どう頑張っても年齢を重ね、いずれは死を迎えるのであれば、むしろポジティブに考えた方がいいに決まっています。
ユニコーンや奥田民生さんの曲を聞いていると、「年齢を重ねるのもまんざら悪くないな」と思えてくる、だからファン層が拡大し続けているのではないでしょうか。
奥田民生さんにはこのまま突っ走ってもらって、60代の曲、70代の曲も歌い続け、ミック・ジャガーのようになってもらいたいと願っています。
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