
花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身 世にふる ながめせし間に
★歌意
桜の花の色はすっかり衰えてしまったことよ。むなしくも、春の長雨が降るのを眺めていた間に、そしてまた、この身が世の中で暮らしてゆくことについていろいろと物思いにふけっていた間に。(私の容姿も衰えてしまったなあ)
★解説
古典で「花」といったら桜のことを指し、小町自身の要望も表しています。「ふる」は「(長雨が)降る」と「(世に)経る」の掛詞。「ながめ」も「長雨」と「眺め」の掛詞です。
桜の花が色あせて散ったことへの嘆きと、自分の女性美としての衰えに対する嘆きの双方が込められていると言われています。
★人物
小野小町(おののこまち、生没年不詳)
絶世の美女と言われ、能や浄瑠璃、歌舞伎などの題材としても使われていますが、当時の小野小町像とされる絵や彫像は現存しないため、実際のところはほとんどわかっていません。ただ、仁明天皇の治世の人物である在原業平や文屋康秀、良岑宗貞と和歌の贈答をしているため、実在した可能性は高いと言われています。
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