前回触れた『うしおととら』(藤田和日郎、1990年〜1996年)は不朽の名作として名高いですが、アニメ化されたわけではないので、知らない人はまったく知りません。・・・それは、もったいない。
最凶最悪の白面の者との最終決戦は、マンガ史に残る超ハイテンションなバトルなんですよ。
白面の者は、九尾の狐をモデルにした妖怪です。古代中国の殷王朝を滅亡させた傾国の美女・妲己は、九尾の狐が変化した姿でした。その他、浄瑠璃や歌舞伎の題材から、現代の『NARUTO』に至るまで、さまざまな伝承や物語に登場しています。
『うしおととら』の白面の者は、天地黎明のときに闇に沈殿していた邪気が実体化した存在です。古代インドで実体化に成功してからは、中国大陸に移動して暴れ放題しました。その後、800年前の日本にもやってきますが、陰陽師と白面の者に敵対する妖怪が手を組んだことで、封印されました。
そして、現代。白面の者は、封印された状態からもさまざまな策謀を張り巡らせ、ついに復活してしまいます。その影響を受けて、しもべの妖怪たちも日本中で暴れまわるという阿鼻叫喚の地獄絵図に。
だが、うしおの仲間たち(人間&妖怪)が各地で応戦し、白面の者の好きにはさせません。
ついに究極の最終決戦の幕開けです。
で、さらには、なんと・・・
自衛隊の戦闘機が参上!!
妖怪 VS 人間のバトルに戦闘機が登場してくる、そんな物語がこれまであったでしょうか?
これこそ、さまざまなギミック(からくり)で
物語を盛り上げる
藤田和日郎の真骨頂です。
そして、極めつけのセリフが・・・・
いかがですか。『うしおととら』は伏線のすべてがラストに至るまでに回収され、物語の完成度はかなりのものです。
それに加えて、興奮必至のハイパーバトルですよ。未読の方には強くオススメしたいですね。
・デジタル版全巻 ・コミックス版全巻
さて、上記の戦闘機のように、藤田和日郎の作品では常人では考え付かないような、ときにはクレイジーなネタが多数登場します。このクレイジーぶりは久米田康治(『かってに改蔵』)、椎名高志(『GS美神 極楽大作戦!!』)、島本和彦といった他のマンガ家たちからも度々ネタにされています。
とくに面白いのは、『吼えろペン』(島本和彦)に登場する富士鷹ジュビロです。
★関連記事
・マンガレビュー一覧
2012年09月08日
この記事へのトラックバック