あの坂本龍馬でも、現代に生まれていたらはたして優秀なビジネスマンになれたでしょうか。
バンドもまたしかり。時代に受け入れられなければヒットしません。

先見性と豊かな才能、優れたファッションセンスを兼ね備えながら、時代にマッチできずにしぼんでいったバンドです。
ジーザス・ジョーンズは、マイク・エドワーズ(写真上)が中心となって結成され、1989年にデビュー。
彼らの音楽的特徴はデジタルサウンドで、ハウスやテクノをロックにふんだんに盛り込んだ斬新なサウンドが受けて、2枚目のアルバム『Doubt』(1991年)は、世界中でヒットします。
この頃の代表作が「Right Here Right Now」や「Real Real Real 」です。
そして、3枚目のアルバム『Perverse』(1993年)では、今まで以上にデジタル色を濃くする戦略に出ます。ところが、こちらのセールスは不振に終わります。
不振の理由を分析すると、
@リスナーの嗜好は、デジタルサウンドから急速にブリットポップに移行してしまった。
A単純に、時代の先を行き過ぎていた。
@のブリットポップの隆盛は、言うまでもなくオアシス、ブラーといったバンドの台頭を意味します。オアシスのギャラガー兄弟は、しょっちゅう兄弟ゲンカしているくせに音楽の趣味は「ビートルズ」で一致していました。つまり、目指していたのは60年代から70年代のサウンドであり、デジタルサウンドの対極にある音楽です。
Aについては、彼らのサウンドは「10年早すぎた」といえます。というのも、当時セールス的に不振だった『Perverse』を今聞いみると、むしろ今の時代にこそマッチしていると思います。
例として、収録曲の「Zeroes and Ones」のPVを見てみます。タイトルの意味は「0と1」。つまりデジタル時代そのものをテーマにした曲です。
なんか、『マトリックス』(1999年)っぽくない? マトリックスよりも7年早いんだけどね。

まとめると、YMO、デュラン・デュラン、バグルス、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドなどのテクノサウンドが大流行した
80年代を起点とすれば遅すぎる登場だったし、
『マトリックス』によって爆発した2000年代サイバーパンクを起点とすると早すぎる登場だったといえます。
ただ、バンド活動としては残念な結果に終わりましたが、彼らの作品は残り続けるわけですから、ぜひ聞いてみてください。とても、いい音楽だと思いますよ。
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