主人公エドモン・ダンテスが無実の罪で監獄に送られ、そこで長い年月を過ごしたのち、脱獄して巨万の富を手にし、モンテ・クリスト伯爵として自らを陥れた者たちに復讐する物語です。以下、あらすじをざっくりと紹介。
マルセイユの航海士であるエドモン・ダンテスは、若いながらも仕事熱心。その働きが認められ、船長への昇格が約束されていました。しかも、婚約者のメルセデスと近く結婚する予定。まさに順風満帆の人生でした。しかし、ダンテスの出世を妬んだのが会計担当のダングラール。また、メルセデスに横恋慕していたのが従兄のフェルナン。彼らは、検事代理のヴィルフォールと共謀し、無実の罪でダンテスを逮捕。哀れ、ダンテスは終身刑に処せられます。
監獄で絶望的な日々を過ごすことになったダンテスでしたが、隣りの独房に投獄されていたファリア神父という老人と出会います。神父のもとで様々な学問を学ぶダンテス。やがてファリア神父は病に倒れてしまいますが、モンテクリスト島に隠された財宝のありかをダンテスに伝えて死にます。ダンテスは、ファリア神父の遺体と入れ替わることによって、脱獄に成功。すでに投獄から14年の月日が過ぎていました。
モンテクリスト島の財宝を手に入れたダンテスは、やがてイタリアの貴族モンテ・クリスト伯爵と名乗るようになります。そして、成功して今や時の人となっていたダングラール、フェルナン、ヴィルフォールに近づき、自分の富と権力と知恵を駆使して復讐を開始していくのです。
古典文学とは思えないほど読みやすく、現代のエンターテイメント小説のように読み進めることができます。また、劇中には新聞記者や株屋といった職業の人物たちも登場しますが、彼らの話題が現代とほとんど同じことにも驚きます。まさに、不朽の名作を実感できる名著です。
ちなみに、本作は後世の作家に多くの影響を与えてきました。とくに無実の罪で投獄され、その後復讐に燃えて幾多の試練を乗り越えるというストーリーは、もはや「王道」ともいえます。
『連城訣』(金庸)、『カムイの剣』(矢野徹)、『エリア88』(新谷かおる)など、無数の作品が本作から影響を受けています。
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