では、テレビや映画で活躍している歌舞伎役者の屋号はどんなものなのでしょうか。屋号別に見ていきます。
成田屋(なりたや)
成田屋こそ、歌舞伎の屋号のはじまりとされています。由来は成田山(千葉県)からです。
上記二人は親子。市川海老蔵さんはワイドショーの常連ですが、実は成田屋(市川宗家)は江戸歌舞伎のなかで最高位といえる格式なんですよ。
・成田屋公式サイト(外部リンク)
高麗屋(こうらいや)
初代松本幸四郎が若い頃に丁稚奉公していた、江戸神田の「高麗屋」という商店が由来です。
上記二人は親子。当代の松本幸四郎さんと市川團十郎さんは従兄弟にあたります。松本幸四郎さんの映画やドラマでの活躍はご存じの通りですが、ニューヨーク・ブロードウェイで『ラ・マンチャの男』の主役を、ロンドン・ウエストエンドで『王様と私』の主役をそれぞれ英語でこなすほどの力量の持ち主です。
播磨屋(はりまや)
初代中村歌六が養子に出された播磨屋が由来。
『鬼平犯科帳』でお馴染みの中村吉右衛門さん。その兄が松本幸四郎さんです。
中村屋(なかむらや)
江戸三座のなかで最も古い中村座の座号が由来。中村座を開場した猿若勘三郎は、後に中村勘三郎と改めたため、珍しく屋号と名跡の苗字が同じになっています。
上記3人は親子。当代の中村勘三郎さんの何にでも挑戦する姿勢はすごいものがあります。
澤瀉屋(おもだかや)
澤瀉屋は家庭の事情が複雑なこともあり、書くことも多いので別記事にします。
萬屋(よろずや)
芝居茶屋「萬屋」に由来。1971年、往年の大スター中村錦之助ら小川家一門が播磨屋から独立してできた屋号です。つまり、本当に最近できた屋号です。中村錦之助はこれを機に萬屋錦之介を名乗ります。
歌舞伎よりも映画に重きを置いたために、歌舞伎界ではかなり苦労をしました。その苦労の末に世に出たのが、萬屋錦之介の甥である中村獅童さんです。
成駒屋(なりこまや)
将棋の「成駒」と親交が深かった「成田屋」(市川宗家)をかけたのが由来。
中村福助さんの弟が橋之助さん。橋之助さんは大河ドラマ『毛利元就』(97年)で主演しました。中村梅雀さんは『毛利元就』も含めて、10度も大河ドラマに出演しています。刑事ドラマにも出演しているため、「えっ?! この人歌舞伎役者だったの?」と思う人も多いのでは。
大和屋(やまとや)
初代坂東三津五郎が養子に入った大和屋が由来。
坂東三津五郎さんは日本舞踊「坂東流」の家元でもあり、江戸三座のひとつ「守田座」座元の家系でもあります。
当代随一の女形である坂東玉三郎さんについては以前にも書きましたので、そちらをご覧ください。
山城屋(やましろや)
2005年、231年ぶりに坂田藤十郎を襲名したことで復活した屋号。
現代歌舞伎の大看板で人間国宝。そして上方歌舞伎・復興プロジェクトの重要人物。妻は扇千景さん(元宝塚、元参議院議長)、妹は中村玉緒さん。この方も書くことがいっぱいあるので、別記事にします。
松嶋屋(まつしまや)
屋号の由来は不詳。片岡仁左衛門さんは長く片岡孝夫という本名で活動されていました。昔から2枚目で人気が高く、大河ドラマ『太平記』で演じた後醍醐天皇はハマリ役でした。
片岡愛之助さんも二枚目で人気の歌舞伎役者です。大阪出身で今も大阪在住の“上方歌舞伎のホープ”です。彼らは坂田藤十郎さんとともに上方歌舞伎の復興に力を入れています。
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