2012年03月22日

巨体キャラ=かませ犬ポジションの考察

bison2.jpg日本のマンガやアニメでは、巨体キャラ=かませ犬ポジションというものが多いように感じます。
最近のアニメでは、『TIGER & BUNNY』ロック・バイソンですかね。見ていて可哀そうなぐらい、かませ犬テンプレートが導入されていました。

昔のマンガでいえば、獣王クロコダイン『ダイの大冒険』)が極め付けではないでしょうか。
そのかませ犬っぷりは、もはやレジェンドと化しています。

さて、なぜ、かくも巨体キャラは不遇なのでしょうか。
以下、考察してみます。


@体の小さい日本人のコンプレックスの裏返し
日本人は体が小さいです。ですから、終戦後に体の大きなアメリカ兵を見たときは、さぞかしコンプレックスを抱いたでしょう。しかも体格だけでなく、文化水準、経済力、戦力など、すべてが劣っていたのです。

rikidozan.jpgそこで「マンガやフィクションの世界ぐらい、日本人が勝ってもよかんべぇ」と思ったのかもしれません。
その代表的なものが、プロレスにおける力道山でした。プロレスはどちらかというとフィクションに近いスポーツだと思います。
小柄の力道山が、身体の大きい外国人レスラーをばったばったと倒していくシーンに敗戦で自信を喪失していた日本国民は熱狂します。

以後、マンガの世界でも同様の現象が続き、今に至っているのではないでしょうか。


A巨体は丈夫そうなので、強敵にフルボッコされてもPTAから苦情が来にくい

croc.jpegでは、終戦から65年以上も経ち、日本人の存在感も以前より上がってきているのに、今なお巨体キャラが不遇なのはなぜでしょうか。
それは「表現の問題」という側面からだと思われます。

マンガとはいえ、暴力シーンが甚だしいとPTAあたりから苦情が来ます。今はとくに表現の規制が厳しくなっています。
そんななか、巨体キャラは頑丈そうなため、いくら叩きのめされても、
「まぁ、多分大丈夫なんだろう」と思われ、苦情が来にくい感じがします。
強敵たちの「試し切り」のような役割も担っており、ますます不遇です。
クロコダイン、何度やられても死にません(泣)


他のマンガでも「巨体キャラ=かませ犬ポジション」は多く、長い時間をかけてテンプレート化した感があります。
bigmen.jpg

●マンモス西:『あしたのジョー』(高森朝雄:原作、ちばてつや:画、1967年〜1973年)
初期の「巨体キャラ=かませ犬ポジション」。当初はジョーのライバル的存在でしたが、どんどんダメキャラになってしまいました。でも最終的には、のりちゃんと結婚できたからいいか。関西弁

●中西くん:『キャプテン翼』(高橋陽一、1981年〜1988年)
翼くんのシュートを巨体でブロックするという離れ業を披露した中西くん。でも「動きが鈍い」という弱点が露呈してシュートされる始末。彼も関西弁。彼らのせいで「巨体キャラ=かませ犬ポジション+関西弁」というイメージも強いです。

●アルデバラン:『聖闘士星矢』(車田正美、1985年〜1990年)
牡牛座の黄金聖闘士。強敵が襲来すると、真っ先にやられてしまう典型的な「巨体キャラ=かませ犬ポジション」。蟹座(デスマスク)、魚座(アフロディーテ)と並んで不人気の黄金聖闘士でした。

●ハート様:『北斗の拳』(武論尊:原作、原哲夫:画、1983年〜1988年)
存在感が大きく人気の高い悪役キャラです。近年のゲーム等では「ハート様」が正式名称になるほど愛されています。ちなみに、『北斗の拳』には「山のフドウ」という巨体キャラもいましたが、彼もラオウのかませ犬になってしまいました。


最後に巨体キャラの名誉のために言っておくと、活躍した巨体キャラだってちゃんといたんです。
『ドカベン』の山田太郎や岩鬼、『巨人の星』の左門豊作、『シティハンター』の海坊主とか。でも数では、圧倒的に「かませ犬」が多いですね。

posted by すぱあく at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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