
わが庵は 都のたつみ しかぞ住む
世をうぢ山と 人はいふなり
★歌意
私の草庵は都の辰巳(東南)にあって、このように心安らかに住んでいる。
(それなのに)世間の人は、世の中をきらうという意味の宇治山と言っているそうだ。
★解説
宇治山の草庵を訪れた人に語った形式の歌です。「宇治山」だから“憂い山”と俗世間の人は言うだろうがとしゃれながら、俗世間を離れて隠れ住む気楽な安定した心情を述べています。出家隠遁者というと、なんだか気難しいイメージがありますが、意外に気楽そうな様子が伝わってきます。
★人物
喜撰法師(きせんほうし、生没年不明)
紀貫之は「古今集」の序文の中で、詠んだ歌が多くないのでよくわからないと述べています。
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