田子の浦に うち出でてみれば 白妙の
富士の高嶺に 雪は降りつつ
★歌意
田子の浦に出て見渡すと、真っ白な富士の高い峰に、いま雪が降り続いていることだ。
★解説
田子の浦は、現在は静岡県富士市一帯の海岸です。
「降りつつ」の「つつ」は動作の反復や継続を表す接続助詞で、ここでは雪が降り続いていることを示します。しかし実際には、富士山頂に降っている雪は見えないので、想像しての表現ということになります。古代日本人の想像力の豊かさがわかる一首です。
★人物
山部赤人(やまべ の あかひと、生年不詳〜736年頃)
奈良時代の歌人で、三十六歌仙の一人。同時代の史料に記述がないため、詳しいことは不明です。
柿本人麻呂とともに「歌聖」と称えられています。紀貫之(35番歌の歌人)も『古今和歌集』において、「人麿(柿本人麻呂)は、赤人が上に立たむことかたく、赤人は人麿が下に立たむことかたくなむありける」と同等に評価しています。
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