
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む
★歌意
(山鳥のたれ下がった尾のように)長い長いこの秋の夜を、私はひとりで寝なければならないのだろうかなあ。
★解説
「あしびきの」→山にかかる枕詞。
「山鳥」→キジ科の鳥で、オスとメスは夜間は谷を隔てて別々に寝るという伝承があった。そのため、古典文学では「ひとり寝」の例えとして用いられる。この歌でも恋しい人を待つ秋の夜長の「寂しさ」の象徴となっている。

「しだり尾の」→長く垂れ下がった尾。
「ひとりかも寝む」→“か〜寝む”は係り結びの法則。
★人物
柿本人麻呂(かきのもと の ひとまろ、660年頃〜720年頃)
同時代の史料に根拠となる記述がないため、不明なことが多い人物です。下級官吏だったといわれています。
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