
秋の田の かりほの庵(いお)の 苫をあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ
★歌意
秋の田の(ほとりにある)仮小屋の(屋根を葺いてある)苫の編み方が粗いので、私の袖は(苫屋根のすきまからもれ落ちる)夜露にぬれるばかりである。
★解説
「かりほの庵」→“かりほ”は“仮庵”と書き、粗末な小屋のこと。
「苫をあらみ」→“を〜み”は“〜が・・・なので”と訳す。
「衣手」→袖。
秋の刈り入れのときの夜、田んぼを守る一人の男が、粗末な小屋にいるという情景。天智天皇が自らこうしたことをやったとは思えないので、農民の苦労を思いやって歌ったものとされています。
★人物
天智天皇(てんじてんのう、626年〜672年)
第38代天皇。即位前の名は中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)。645年、中臣鎌足(後の藤原鎌足)らとともに蘇我入鹿を暗殺し、蘇我氏を滅ぼしました。これを契機に大化の改新を行いました。娘に持統天皇(2番)がいます。
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岡田准一が中臣鎌足を、小栗旬が中大兄皇子を演じました。
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